ギュンター・ヴァント指揮
先週には最低気温が10度以下の日があり、年寄り向けに燃焼時間が長い(灯油タンク容量が大きい)のを1台追加しました。脱炭素、エスディージーズが頭にチラつきながら結局石油ストーブが一番手軽に暖かいので簡単に手をきれません。それにしても福島第一原発の事故直後、もう原発は無しという選択肢がクローズアップされましたが今年のウクライナ侵攻以降、脱原発のドイツでも風向きがあやしくなってきました。核の廃棄物の処理について技術的に解決していないのに、SDGsの観点から原子力発電が望ましいと言えるのか(ry。と疑問に思いながら灯油の臭いと共にブラームスをちょくちょく再生しています。今回はヴァントと北ドイツ放送交響楽団の交響曲第4番。
ヴァントと北ドイツ放送交響楽団の最初に出たブラームス全集(ヴァントのブラームスはこの1985年前後の連続録音以降に何種か出て、知らない内に種類が増えている)は、EMIのマークが付いてドイツハルモニアムンディのCDが最初だったと思いますが、初めて聴いた時はあまり印象は良くなくて、久しぶりに聴いてみると悪くは無いと思いながらも流れる様に過ぎて行き、第4番、第1番なんかはもう少し遅く、重くやって欲しい気になりました。第4番は特に両端楽章でそう感じて、どこかで見たような言葉、「スポーツ的な」とは言わないまでも、スパイクの金具やアイゼンが凍った地面にささりながら進むような足取りとは程遠い感触です。そのかわり第2楽章は素晴らしく美しくて、古典派の時代の演奏会のように特定の楽章をアンコールするのが可能だったらぜひ第2楽章を直後に聴きたいくらいです。
先日のドホナーニのブラームスを思い出しながら1980年代のブラームス演奏ならこれくらいのテンポ感かと思いつつ、少し後のホルスト・シュタインのトラクタイムをながめると結構違っていました。それはともかくとして、ホルスト・シュタインのブラームス交響曲全集の日本版解説の中でシュタインのオーケストラに対する姿勢、演奏の姿勢が対照的だとして、ヴァントは「自分のイメージをしっかり持っていてオーケストラを引き込もうとする人」と評されていました。自分のイメージというのは各指揮者は持っているとして、「引込もうとする」というのが違いなのかもしれません。
ヴァントの伝記にはハンブルクで指揮する際にはフルトヴェングラーを悪く言ってはだめだと忠告されたにもかかわらず、いざ指揮台に立ってリハーサルという段で「フルトヴェングラーがめちゃくちゃにしたベートーヴェン」という言い方をしたので、フルヴェンを尊敬する人が多かったので反感を買ったとヴァントの伝記に載っていました。曲げられない性分なのか、ちなみにヴァントが理想とするベートーヴェンはトスカニーニとクレンペラーだそうです。