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新・今でもしぶとく聴いてます

マスネ

22 4月

マスネ「ナヴァラの娘」 ポップ、アルメイダ、LSO/1975年

210422aマスネ 歌劇「ナヴァラの娘」

アントニオ・デ・アルメイダ 指揮
ロンドン交響楽団
アンブロジアン・オペラ・シンガーズ(合唱指揮ジョン・マッカーシー)

アニタ:ルチア・ポップ(S)
アラキル:アラン・ヴァンツォ(T)
ガリード:ビンセンテ・サルディネーロ(Br)
レミージョ(アラキルの父):ジェラール・スゼー(Br)
ガリード:クロード・メローニ(Bs)
ラモン:ミシェル・セネシャル(T)
ブスタメンテ:クラウデ・メローニ(Br)、他

(1975年3月 ロンドン,EMIスタジオ 録音 蘭CBS)

210422b  渡鬼のことで、嫁と姑のドラマを思い出していると何故か記憶に残っているのが「外科医 有森冴子」という連続ドラマのある回でした。二組の老婦人が入院、相部屋になり、それぞれの嫁が病室にやって来るというもので、入院患者の一人は山手、インテリ的、もう一人は下町風という設定で、息子の嫁もそれぞれの暮らしぶりと似たタイプでした。嫁姑の関係は良くなく、姑は嫁が「何をしても気に入らん」的で病室に差し入れるカステラ、煎餅がそれぞれ気に入らないときました。ある日、相部屋の片方が不在のタイミングにその不在の婦人の嫁がやってきました。山手風婦人と元ヤン嫁は気が合いそうにないはずが、その嫁が持ってきた煎餅を美味しいと言って褒め、自分のところの嫁は気が利かない、カステラは入れ歯の裏に付くとか言い出します。この演出なので逆の組み合わせ、下町婦人と山手の嫁とのやりとりも描かれ、下町のおばさんがカステラを美味い、こういう所にいたら普段と違うものを食べたくなるものだとかと褒め上げ、返す刀で自家の嫁をけなしています。各嫁が自分の姑に持って来た時はけなされていたのに、同じ年齢でも相手が姑ではない場合には褒められるという矛盾が面白いというネタでした。原発の冷却廃液を海に放出する件、中韓が同じような海洋放出をする場合は日本でも結構攻撃する人が出るんじゃないかと想像していました。

210422 ジュール・マスネのオペラ「ナヴァラの娘」は2018年1月に藤原歌劇団によって日本初演が行われました。だからその公演のサイトがネットで見ることができ、この全然知らなかったオペラの解説が読めてありがたいことです。ナヴァラ出身のアニタがヒロインで、その姑ではなくしゅうとに当たる(結婚できなかったので厳密には違う)レミージョが息子アラキルとの結婚に反対、妨害するという話でした。このレコードを購入したのは作品がどうのとかではなく、ルチア・ポップが出ているという一点だけが目当てでした。ヒロインのアニタはフィナーレの方で恋人のアラキルが死んだことを知って発狂して、狂ったような笑いかたをします。ポップはそれを堂々と演じ、歌い切っていました。こういう表現は他の作品でもなかったので珍しいパターンです。ポップは歌うだけでなく例えばR.シュトラウスのインテルメッツォのような作品での、歌いながら演技するという表現にも長けています。この録音より少し前のコジ・ファン・トゥッテ全曲盤(クレンペラー、ニューPO、EMI)で歌ったデスピーナもなかなか面白い味わいでした。

 このオペラ、「ナヴァラの娘」は
マスカーニらに代表されるヴェリズモオペラに分類される内容で、1894年6月20日にロンドンのコヴェントガーデンで初演されました。二幕で構成されてLPレコード一枚に収まっています。19世紀後半の内乱状態のスペイン、バスク地方を舞台にした物語で、ナヴァラ生まれの娘アニタが立憲君主派の兵士アラキルとの結婚を反対されて多額の持参金を条件とされたので敵方、懸賞金がかけられた絶対君主派の将軍を暗殺しようとします。見事成功して戻った時にはアラキルが瀕死の状態であり、やがて亡くなり、アニタが半狂乱となるという結末です。音楽的にはアリア部分と対話部分にはっきり分かれるのではなく、その境目が曖昧で楽劇のような進行をします。途中で軍隊のラッパを表すフレーズが出て来てマーラーの交響曲を思い出させます。

 主なキャストの中ではアラキル役、テノールのアラン・ヴァンツォ(Alain Vanzo 1928年4月2日,モンテカルロ – 1月2002年27日)も個性的な、癖がある歌唱とも言える歌手でフランス・オペラ等で有名だったようです。ジェラール・スゼーがアラキルの父、二人の結婚に反対するレミージョを歌っています。指揮のアントニオ・デ・アルメイダ(Antonio de Almeida 1928年1月20日 - 1997年2月18日)はどこかで名前を見た覚えがある程度で、オペラ以外に代表的なレコードがあったかどうか分かりません。このレコードと同じ1975年にRCAもロンドン交響楽団を起用して全曲盤を制作していました。
8 7月

マスネ 歌曲集「四月の歌」 ラプラント、ラシャンス、ミレール

マスネ 歌曲集「 四月の詩 (詩:シルヴェストル)


ブルーノ・ラプラント:バリトン
ジャニーヌ・ラシャンス:ピアノ
朗読:アルベール・ミレール


(1975年9月 モントリオール 録音 ビクター)

 今朝、いつものように御池通の地下駐車場から地上に上がると街路樹からクマ蝉の鳴き声が聞こえてきました。去年のブログを調べると今年と同じ7月8日に初めて蝉の声を聞いたと書いてありました。さらに遡ると2010~2012年までは毎年7月13日にクマ蝉の声に初めて気が付いていました。この調子で気候が亜熱帯化すると一カ月くらい早まるかもしれません。

140708 フランスの作曲家、ジュール・マスネ(1842-1912年)と言えばオペラ「タイス」(の瞑想曲)かオペラ「ウェルテル」の名前がかろうじて思い浮かぶ程度で、よく知っている作品はありませんでした。今年の四月初め頃だったか、朝の通勤時にFMラジオをかけるとフランス語の朗読と独唱がきこえてきました。フランス語独特の音声、破裂音や息が抜ける音が心地よくて、こんなに美しいものだったかと感心しました。後で番組表を調べるとマスネの「四月の歌」だと分かり、ネットで検索すれば簡単にCDの何種類かは見つかるだろうと思いました。どうせならその時FMでかかったラプラントの歌で聴きたいと思いましたが、これが思いのほか古い録音で中古しか見つからず、他の演奏家の録音もすぐには分からず廃盤なのか手に入るのか分からないような状態でした。

 結局中古を購入しましたが、どうもマスネの代表作という程でもなく、フランス歌曲の枢要と言う程の曲でも無いようです。しかし改めて聴いてみると、FMで偶然耳にした時の感動はそのままで、少々甘く爽やかなメロディーが連なるこの曲集はもう少し広まっても良さそうなのにと思いました(あるいはLPで出た時は評判になっていたかもしれない)。ただ、付属の日本語解説冊子によるとフランスでは初めて聴く歌曲の作品に甘いメロディーのものがあれば、「マスネ的」だと幾分か軽蔑の念を込めて表現されるとありました。それでもマスネは223曲も歌曲を残しているので、シューマン並みの創作です。

四月の詩
プレリュード(朗読)
朝のソネット
大きな百合が
君は笑うの?(朗読)
優しい春が
時は短いから
泉の上に
哀歌(朗読、歌)

140708b 
歌曲集「四月の詩」はマスネが24歳の年、1866年の作曲で、フランスの楽壇においては関連性を持つ一連の詩に曲を付けた作品(シューベルトやシューマンのような連作歌曲集)はこれが初めてだったそうです。上記のように八曲から構成され、「プレリュード」と「君は笑うの?」は朗読とピアノだけで独唱はありません。最後の「哀歌」は四行詩の朗読の後に独唱が続きます。詩の内容は女性との「別れ」で終わるものですが、「ぼくは死ぬ、さようなら、いとしい心~」という歌詞のわりには決定的な絶望のようでもなく、美しさがたなびいて終わります(翌日にはもう別の女に声をかける程軽くはなさそうだけれど)。

140708a 初めて聴いて強烈な印象だったのは、バリトンのブルーノ・ラプラントの声にすっかり魅了されたというのもありました。題名も歌詞も知らずに聴いていて、最初はテノールかと思いました。ラプラントはカナダのケベック州、ボーアルノワに生まれて、モントリオールの音楽院で声楽の一等賞を獲得し、ドイツへ留学し、さらにパリでピエール・ベルナックに師事しました。LPレコードの国内盤で「ブルーノ・ラプラント フランス歌曲選集1-10」というのが出ていて、これはその2集でした。
 ピアノのジャニーヌ・ラシャンスもカナダのケベック州生まれで、同じくモントリオールの音楽院で一等賞を得てパリに二年間留学しています。

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昭和40年代生まれ、オットー=クレンペラーの大フアンです。クレンペラーが録音を残したジャンルに加え、教会音楽、歌曲、オペラが好きなレパートリーです。

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