raimund

新・今でもしぶとく聴いてます

ドヴォルザークの管弦楽、協奏曲

17 10月

ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ペレーニ、フィッシャー

171017bドヴォルザーク チェロ協奏曲 作品104

イヴァン・フィッシャー 指揮
ブダペスト祝祭管弦楽団

ミクローシュ・ペレーニ:チェロ

(1987年12月28-30日 録音 キング/HUNGAROTON)

171017a 今週に入って期日前投票に行ってきました。開始時刻の30分前に着いて一番に投票しようかと思って待っていたら、茶を飲んでいる間に後続の人が既に並んでいました。それで定刻になると「10月22日投票の衆議院選挙の期日前投票を開始します(もっと細かい口上だったかも)」という宣言があり、投票に来た人も挨拶をして投票場所に進みました。たいていは夜に来ていたのでこういう風に厳粛に始まるとは知りませんでした。投票している時に自分が選挙権を得て初めて投票にした時はどんなだったかと振り返りました。平成二年の衆議院選挙はまだ中選挙区制だったので京都二区(京都市の一部と京都市以外の市町村全部)に複数の候補者が当選していました。トップは社会党の山中氏、二位が野中さんという懐かしい名前です。その前の昭和61年はトップが共産党の寺前氏、二位は野中さんですが、平成二年にトップだった社会党の山中氏は次点で落選していました。

チェロ協奏曲 ロ短調 作品104 
第1楽章 Allegro ロ短調
第2楽章 Adagio ma non troppo ト長調
第3楽章 Allegro moderato ロ短調

 このドヴォルザークのチェロ協奏曲のCDは国内の廉価盤が出るまで存在をよく知りませんでした(演奏者の名前はそれぞれ知っていた)が、この曲の新しい録音を探している内に見つけました。今世紀に入ってしばらくの頃、発作的にドヴォルザークのチェロ協奏曲が聴きたくなって店頭を探してもロストロポーヴィチのEMI盤しか見つからず、これだけの有名曲なのに案外CDは出ていないものだと思いました。その時はそれっきりになり、イヴァン・フィッシャーの指揮したCDを探している時にこれと再録音があることが分かり、旧録音の方は国内盤で出ているのが分かりました。

 改めて聴いていると意外にこじんまりとして端正なチェロなので、ロストロポーヴィチとは対照的だと思いました。オーケストラの方は最近のI.フィッシャーの録音よりはおおらかな印象で、この曲らしい魅力があふれています。と言っても再録音の方は聴いたことが無いので分かりませんが、1960~70年代の有名録音より地味な演奏に親近感を覚えるのでこの録音はかなり気に入っています。ちなみに最新版の「名曲名盤500(レコード芸術編)」のドヴォルザークのチェロ協奏曲は第1位がフルニエ、セル、ベルリンPO(DG盤/1962年)、第2位はロストロポーヴィチ、カラヤン、ベルリンPO(DG盤/1968年)、第3位はデュ・プレ、バレンボイム、CSO(EMI盤/1970年)という結果で、ペレーニがソロのものはリストにも漏れていました。なお、ペレーニの方も二種(少なくとも)録音があって、これ以前の1976年にもオーベルフランク指揮、ブダペスト・フィルとこの曲を録音しています。

 ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、アメリカ滞在時代の末期にチェロ奏者ハヌシュ・ヴィハーンからの依頼によって1894年11月から翌1895年2月にかけて作曲されました。初演は翌年の1896年3月19日、ロンドン・フィルハーモニック協会の演奏会で、レオ・スターンのチェロと作曲者に指揮によって行われました。委嘱者のヴィハーンはチェコでの初演で競演しました。第3楽章の中でチェロが弾く旋律に賛美歌やカトリック聖歌集にもある「飼いぬしわが主よ」に似たものがあり、原曲を引用したのかと思いましたがそういう解説はありません。そこにもあるいはアメリカ滞在中に聴いた音楽が反映されているのかもしれません。
13 8月

ドヴォルザークのチェロ協奏曲 ワイラースタイン、チェコPO

150812aドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロ短調 Op.104 B.191


アリサ・ワイラースタイン(チェロ)
イエジ・ビエロフラーヴェク 指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
 
(2013年6月27-29日 プラハ,芸術家の家ドヴォルザーク・ホール 録音 DECCA)

 先日作家の阿川弘之、吉本新喜劇等で一世を風靡した花紀京と相次いで訃報が流れました。失礼ながら前者は御存命だと知らずにいたので少々驚きました。それで罪滅ぼしを兼ねて文庫本の「山本五十六 上・下」を買ってきました。長らく店頭でパラパラっと眺めるだけで全部読もうと言う気にはならなかったのでこの機会にと思いました。それにしても今年の国営放送は例年に無く?リアリティを感じさせる?特集番組を放送しているので感心します。

 このCDはビエロフラーヴェクとチェコPOのドヴォルザーク交響曲全集にピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲と共に収録されたもので交響曲第1番とカップリングされています(元々はチェロ協奏曲と小品の組み合わせで一枚で出ていた)。イエジ・ビエロフラーヴェクは2012年からチェコPOの首席を務めていて、1990年から92年にかけてもチェコPOの首席だったので再登板ということになります。アリサ・ワイラースタインは1982年生まれのアメリカ人女流チェリストで、父親がクリーヴランド弦楽四重奏団の創設者でヴァイオリン奏者のドナルド・ワイラースタインです。13歳でクリーヴランド管弦楽団と共演し本格的にデビューし、バレンボイムに認められて2010年5月にベルリン・フィルのヨーロッパ・コンサートに出演して注目されました。

150812b 十数年前だったか、ドヴォルザークのチェロ協奏曲を発作的に聴きたくなったのにこの曲はCDを今まで購入したことがなくて手元に有りませんでした。できるだけ新しい録音、せめてデジタル録音(できればセッション録音)の音源をと思って店頭を探したところ有名曲の割に一種類(ロストロポーヴィチとジュリーニ、LPOのEMI廉価盤)しかありませんでした。以後ドヴォルザークのチェロ協奏曲はそれ一種類だけを時々聴いていたので、今回のものはその録音から36年後の新しいものになります。欲を言えばソリストもチェコの地元系の人が良かったと思いますが、バレンボイムが期待するチェロの新星なのでこれはこれで良いとします。

チェロ協奏曲 ロ短調 作品104 (B.191)
第1楽章 Allegro ロ短調
第2楽章 Adagio ma non troppo ト長調
第3楽章 Allegro moderato ロ短調

 
ドヴォルザークのチェロ協奏曲は、作曲者がニューヨークのナショナル音楽院長として赴任中だった期間の1894年から1895年にかけて作曲されました。三つの楽章とも親しみやすく哀愁を帯びた旋律が魅力的ですが、個人的には出来過ぎというか負のオーラ、陰が無さ過ぎるようにも思え、徹底的に好きとまではいきませんでした(無人島とか独房にまで持参するレベルではないという意味)。この新しい録音はやや線が細く、濃厚な表現でも豪快なチェロという印象ではないものの、作品に対するイメージが変わるような清新な演奏でした。どちらかと言えばソロよりもオーケストラの方に惹かれます。

24 7月

ドヴォルザーク 交響詩「野鳩」 グレゴル、チェコPO

130724ドヴォルザーク 交響詩「野鳩」作品110 B198

ボフミル・グレゴル 指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団


(1987年2-4月 プラハ,芸術の家 録音 SUPRAPHON-DENON)


 キジハトという野鳥は公園に群れているドバトより小ぶりで、茶色のチェックの様な模様の羽根をしていて都市近郊でも見かけます。庭木に巣を作ることもあり、「ポッポー グーグー」ときこえる鳴き声がなんとも長閑さをかもしだして好感の持てる鳥でした。それがここ数年めっきり見かけなくなり、代わりにカラスが多数飛来してきます。今年乗り換えたまだ新しい車にしばしば鳥のフンが付いています。何度かは運転席側のドアの取っ手付近にピンポイントで付いているので呆れています。まさか鳥を飼っている人が、手で抱えて鳥の尻をなすり付けているというオチではないはずですが、そんなことを想像するほど的確に命中しています。そのフンもキジ鳩ではなく、カラスのものなのでしょう。

 ドヴォルザーク(1841-1904年)は1892年10月から二年間、ニューヨーク・ナショナル音楽院の院長を務め、その間に交響曲第9番「新世界から」、弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」等の傑作を作曲しています。アメリカから帰国してからチェコの詩人カレル・ヤロミール・エルベンの「民話の花束」に基づく交響詩を四曲作りました。題材になった民話は、チェコの子供ならみんなが知っている程広く知れ渡っているものでした。

「水の精」作品107、B.195
「真昼の魔女」作品108、B.196
「金の紡ぎ車」 作品109、B.197
「野ばと」作品110、B.198

 四曲中今回の「野鳩」は、1898年にヤナーチェクの指揮するブルノのチェコ管弦楽団により初演されました。他の三曲は1896年6月6日にプラハ音楽院でアントニーン・ベンネヴィッツの指揮により初演されていますが、ヤナーチェクはこれら四曲をドヴォルザークの作品の中で最上のチェコ的作品として激賞しています。交響詩「野鳩」は民話の筋に従い五つの部分から構成されます。

① Andante:葬送行進曲、(間男がいたので)夫を毒殺した妻は
周囲を欺くため悲しげに振る舞う。

② Allegro-Andante:春になって若い間男と結ばれる。
③ Molto vivace-Allegretto grazioso:未亡人と若い間男の婚礼の宴
④ Andante:
亡夫の墓近くの樫の木に鳩が巣を作り、悲しげに鳴く。
それを聞く度に心が責められ、妻は谷川に投身自殺する。

⑤ Andante:死んだ妻を憐れむように鳩は優しい歌をうたう。

 ⑤の部分は原作にはありませんが、全体的に陰惨な話で子供向きとは思えません。それとは裏腹に音楽自体は野山の息吹を思わせる、爽快さで貫かれて最後は消えるように全曲を閉じます。けしからん毒婦をとがめるような空気がまるで感じられないのも作品の特徴です。(因果応報、道徳的教訓の色彩が限りなく薄いのはこの土地の風土なのかどうか。)

 ドヴォルザーク晩年、円熟期の傑作ながらレコードではこの四曲と「英雄の歌」を合わせた交響詩の全曲が揃って録音された例はあまりありません。ネーメ・ヤルヴィによるシャンドスのドヴォルザーク交響曲全曲録音(スコティッシュ・ナショナル管)の際に、一曲ずつ交響曲とカップリングされていてそのCDで初めて聴き、かなり気に入っていました。今回のグレゴルの交響詩全集は、チェコPOとの共演で、よりロカール色が強いことになります。

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昭和40年代生まれ、オットー=クレンペラーの大フアンです。クレンペラーが録音を残したジャンルに加え、教会音楽、歌曲、オペラが好きなレパートリーです。

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