コリン・デイヴィス 指揮
リッカルド:ホセ・カレーラス(T)
閏年の2月29日、親戚にこの日が誕生日という人が居たのを思い出しながら、そもそも31日まである月が複数あるので、均して30日ある月を増やせばいいのにと子供の頃は思ったりしました。昨夜そこそこ大きいスーパーに立ち寄ったら、いかつい顔の男性がトイレットペーパーを多数抱えて出て来るのとすれ違いました。やっぱりニュースで言ってたのは本当なんだと思いながら、あいかわらずマスクも売っていませんでした。びわ湖ホールの「神々の黄昏」も中止のメールが届き(今年はチケットをとっていなかったし、開催されても忙しくて行けない)、なんか負の連鎖が起動するのを肌で感じました。定期的に寄る居酒屋に行ったらキャンセル続出で耐えるしかないと諦めの境地のようでした(錦市場に出店しているところなんか前年の20%程度の入りだとか)。
このカレーラスがリッカルドを歌う仮面舞踏会、昨年の秋頃に聴いていたもので、何となくコメントし難いのと、リッカルドの役柄からどういう声がふさわしいのか定まり難い気がして後回しにし続けていました。寒い時にヴェルディ作品を聴くと暖まるような気がすると、今年は特に思ったので再度聴き出しました。これはロンドンのロイヤル・オペラハウスのセッション録音ということで、コリン・デイヴィスの指揮ですがそれよりも、カレーラスとカバリエが目当てで購入したものです。何度か聴いているとオーケストラの方も魅力的に思えて、デイヴィス指揮のオペラならモーツァルトよりも良さそうな気がしました。
カバリエはフレディ・マーキュリーがリスペクトしていたということで映画のヒットに伴ってカバリエも脚光があたるかと思ったらそうでもないようでした。近年は個人的にカバリエが気に入っていて、誇張すればフラスコか試験管で完璧に培養したような美しさ(声が、否、声だけでもない、その辺はデリケートなことで)が独特と思っていました。今回のアメーリアはそんな感じよりも、かなり情感がこもったような風情で一層魅力的でした。彼女とカレーラスの共演、声の質は今回は特にピッタリじゃないかと思いました。
劇中ではリッカルドだけが死に、レナートもアメーリアも血を流さずに済む結末はまだ救いようがあるというのか、悲劇さに陰惨さにあまり覆われないで結構だと思います(オテロなんか救いようが無い)。それに死に方、レナートに恨みをかった経緯もましで、腐れ外道なことはしていないところも清々しさがチラ付きます。こういう要素を念頭にするとカレーラスの歌声は見事にぴったりすると思いました。単に声質だけならパヴァロッティよりも相応しそうでした。この作品の前回(2019年10月)扱ったCDはショルティ再録音 のセッション録音でしたが、そこでリッカルドを歌ってたのがパヴァロッティでした。録音した年代が比較的近く、どちらもロンドン(多分)です。