raimund

新・今でもしぶとく聴いてます

ヴェルディの仮面舞踏会

29 2月

ヴェルディ「仮面舞踏会」 カレーラス、デイヴィス/1979年

200229ヴェルディ 歌劇「仮面舞踏会」

コリン・デイヴィス 指揮
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
コヴェント・ガーデン王立歌劇場合唱団

リッカルド:ホセ・カレーラス(T)
アメリア:モンセラート・カバリエ(S)
レナート:イングヴァル・ヴィクセル(Br)
オスカル:ソーナ・ガザリアン(S)
ウルリカ:パトリシア・ペイン(Ms)、他

(1978,1979年1月 ロンドン, 録音 DECCA/PHILIPS)

 閏年の2月29日、親戚にこの日が誕生日という人が居たのを思い出しながら、そもそも31日まである月が複数あるので、均して30日ある月を増やせばいいのにと子供の頃は思ったりしました。昨夜そこそこ大きいスーパーに立ち寄ったら、いかつい顔の男性がトイレットペーパーを多数抱えて出て来るのとすれ違いました。やっぱりニュースで言ってたのは本当なんだと思いながら、あいかわらずマスクも売っていませんでした。びわ湖ホールの「神々の黄昏」も中止のメールが届き(今年はチケットをとっていなかったし、開催されても忙しくて行けない)、なんか負の連鎖が起動するのを肌で感じました。定期的に寄る居酒屋に行ったらキャンセル続出で耐えるしかないと諦めの境地のようでした(錦市場に出店しているところなんか前年の20%程度の入りだとか)。

 このカレーラスがリッカルドを歌う仮面舞踏会、昨年の秋頃に聴いていたもので、何となくコメントし難いのと、リッカルドの役柄からどういう声がふさわしいのか定まり難い気がして後回しにし続けていました。寒い時にヴェルディ作品を聴くと暖まるような気がすると、今年は特に思ったので再度聴き出しました。これはロンドンのロイヤル・オペラハウスのセッション録音ということで、コリン・デイヴィスの指揮ですがそれよりも、カレーラスとカバリエが目当てで購入したものです。何度か聴いているとオーケストラの方も魅力的に思えて、デイヴィス指揮のオペラならモーツァルトよりも良さそうな気がしました。

 カバリエはフレディ・マーキュリーがリスペクトしていたということで映画のヒットに伴ってカバリエも脚光があたるかと思ったらそうでもないようでした。近年は個人的にカバリエが気に入っていて、誇張すればフラスコか試験管で完璧に培養したような美しさ(声が、否、声だけでもない、その辺はデリケートなことで)が独特と思っていました。今回のアメーリアはそんな感じよりも、かなり情感がこもったような風情で一層魅力的でした。彼女とカレーラスの共演、声の質は今回は特にピッタリじゃないかと思いました。

 劇中ではリッカルドだけが死に、レナートもアメーリアも血を流さずに済む結末はまだ救いようがあるというのか、悲劇さに陰惨さにあまり覆われないで結構だと思います(オテロなんか救いようが無い)。それに死に方、レナートに恨みをかった経緯もましで、腐れ外道なことはしていないところも清々しさがチラ付きます。こういう要素を念頭にするとカレーラスの歌声は見事にぴったりすると思いました。単に声質だけならパヴァロッティよりも相応しそうでした。この作品の前回(2019年10月)扱ったCDはショルティ再録音 のセッション録音でしたが、そこでリッカルドを歌ってたのがパヴァロッティでした。録音した年代が比較的近く、どちらもロンドン(多分)です。
23 10月

ヴェルディの仮面舞踏会 パヴァロッティ、プライス、ショルティ再録音

191021ヴェルディ 歌劇「仮面舞踏会」

ゲオルグ・ショルティ 指揮 
ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
ロンドン・オペラ合唱団(合唱指揮テリー・エドワーズ)
王立音楽院児童合唱団(合唱指揮ヴォーン・ミーキング) 

リッカルド:ルチアーノ・パヴァロッティ(T)
レナート:レナート・ブルゾン(Br)
アメリア:マーガレット・プライス(S)
オスカル:キャスリーン・バトル(S)
ウルリカ:クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)
シルヴァーノ:ピーター・ウェーバー(Br)
サムエル:ロバート・ロイド(Bs)
トム:マルコム・キング(Bs)
判事:アレクサンダー・オリヴァー(T)
アメリアの召使:ピーター・ホール(T)

(1982年5-6月,1983年5月 録音 DECCA)

 何週間か前にヴェルディの仮面舞踏会が急に気になり出して比較的新しい録音で何度か聴いていました。話の筋として部下の妻に惚れるという点は旧約聖書のダビデ王と部下ウリヤの妻バテシバの関係に似ていますが、仮面舞踏会の方で死ぬのは上司に当たるリッカルドの方なのでまだ救いようがあります。ただ、ダビデとバテシバの方が完遂だったのに対してリッカルドとアメリアの方は(まだ)何も無かったのよけいに悲劇と言えます。序曲からして秘め事と悲劇を匂わせる美しい旋律が入っています。

 ショルティの仮面舞踏会のレコードと言えばニルソン、ベルゴンツィ、シミオナートらを起用した旧録音の方を指すことが多いかもしれませんが、今回の新録音もパヴァロッティをはじめ豪華キャストになっています。それ以上にショルティ指揮のオーケストラが清々しくて、もう少し古い年代の録音で時々感じられる強引さ、力任せのようなところがかげを潜めている気がします。
「名曲名盤500(レコ芸編)」の合本最新版(2017年6月発売)では一応これがリストに挙がっていました。

 キャストの中で目立つのがやっぱりパヴァロッティのリッカルドで、明るい声質からマントヴァ公爵(リゴレット)の姿をつい連想しそうになりますが、とにかく一番際立っていました。結局はアメリアとはかなわぬまま死ぬという陰の要素はあまり感じられないながらも第一幕の「恍惚とした喜びの中」、第三幕の「もしも、私が永遠に」は徳に素晴らしいと思いました。アメリアのマーガレット・プライス以外の女声ではキャスリーン・バトルのオスカル、
クリスタ・ルートヴィヒのウルリカが特徴のある声なので音声だけで聴き分けられる以上に魅力的です。

 ところで仮面舞踏会はカラヤンが最晩年に再録音していて、ショルティ共々この作品にこだわりがあるようです。ヴェルディの中期から後期へ移行する創作時期の仮面舞踏会は、例えばリゴレットよりもオーケストラの比重が増して、グッドオールが「ブンチャカ・オペラ(オケが簡単な伴奏するだけという意味か)」と言って嫌ったヴェルディ作品の枠には入らないかどうか、微妙なところです。1960年代にDGがスカラ座とヴェルディの代表作を全曲録音したシリーズがあって、仮面舞踏会はジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮で、ジャンニ・ポッジのリッカルド、アントニエッタ・ステッラのアメリアほか、でしたがオーケストラの演奏はどんな感じだっただろうかと(思い出せない)思いました。
4 5月

ヴェルディ歌劇 「仮面舞踏会」 アバド、スカラ座・DG

130504a ヴェルディ 歌劇「仮面舞踏会」


クラウディオ・アバド 指揮

ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団


リッカルド:プラシド・ドミンゴ(T)
レナート:レナート・ブルゾン(Br)
アメリア:カーティア・リッチャレッリ(S)
ウルリカ:エレーナ・オブラスツォワ(Ms)
オスカル:エディタ・グルベローヴァ(S)
シルヴァーノ:ルイジ・デ・コラト(Br)
サミュエル:ルッジェーロ・ライモンディ(B)
トム:ジョヴァンニ・フォイアーニ(B)、他
 

(1979年12月-1980年1月 ミラノ・スカラ座 録音 DG)
 

130504d_2   先月、名神高速の大山崎インターと京都縦貫道・沓掛インター間延伸部分が開通したので、Uターン・ラッシュになる前の今日試しに走って来ました。園部インターまで自動車道を走り、園部出口前の道の駅に寄り、美山を一回りして戻りました。従来は京都市より南のエリアと丹波地域は、直線距離以上に遠く隔てられていましたが、高速道路で直結したことによりグンと近づきました。名神高速と直結したので、物流への影響が大きいはずです。既に園部の「道の駅 京都新光悦村」は12時過ぎには既に満員でした。
 

130504c  神戸ナンバーの車は舞鶴道経由で足を伸ばしたのかもしれませんが、今後は名神とつながったので広域的に一周できることになります。その道の駅ではこれまで美山産の煎茶をよく買っていました。今日は売店部分も混んでいたのでトイレと販売機だけにするつもりが、レトルトの「猪カレー」と「鹿カレー」が目に付きました。猪鹿とくれば、あとは蝶ですがさすがにカレーには無理なのでかわりに「地鶏カレー」があり、読みだけ「ちょう」を揃えていました。猪、鹿ともに地元の山で獲れるもので、特に鹿は積雪が少なくなり近年増えて農作物への被害が問題になっています。実際これまで昼間に美山を走っていて鹿、猿にはお目にかかったことがあります。
 

 今日の運転中はアバド指揮、スカラ座のヴェルディ「仮面舞踏会」を聴いていました。アバドは1972年から1986年までスカラ座の音楽監督をつとめました。この間にアバドとスカラ座はドイツグラモフォンへ、以下のヴェルディ作品を録音しています。

アバド、スカラ座のヴェルディ
1976年:マクベス
1977年:シモン・ボッカネグラ
1979-1980年:仮面舞踏会
1981年1月:アイーダ
1983-1984年:ドン・カルロ
 

130504  意外に少ないことと、オテロ、椿姫、リゴレットやトロヴァトーレといった有名な演目が並んでいないことが目立ちます。これらはLPで出た時はかなり評判になり、豪華な紙箱入りであり広告、店頭で眺めるだけでした。それが廉価盤CDになると一番上の写真のような体裁になりました。しかし中身の演奏は素晴らしく、他のアバドとスカラ座・DG盤と同様に独唱、合唱、オーケストラがそれぞれ鮮明でよく聴こえます。独唱陣も当時39歳のドミンゴ、33歳のリッチャレッリ、グルベローヴァといった新鮮な顔ぶれが際立ちます。
 

 歌劇「仮面舞踏会」は、1857年から1858年にかけて作曲されて翌1859年にローマで初演されました。全三幕・六場で構成され、最初は実際に起こったスウェーデン国王グスタフ三世の暗殺事件を題材にしていましたが、当時のイタリアの世相からアメリカ・ボストンを舞台にした話に変えられました。このオペラは運命の力、ドン・カルロと並んで中期の三大オペラと称され、トスカニーニが最後に録音した作品、カランの最後のオペラ録音となった作品でもありました。
 

130504e  南丹市美山町(旧北桑田郡美山町)は、かやぶき屋根の住宅が集まる集落が有名で、今ではその近くに観光バスの駐車スペースも整備されています。今日そこへ立ち寄ると大混雑で、トイレの建物と、平屋建ての簡易な店舗があるだけですがかなり商売繁盛だろうと思います。今月26日は恒例の自転車のロードレースが開催されるため、試走、練習の自転車が沢山見られました。美山川の方に目をやると、写真の通り堰も魚が遡上できるようになっていました。

QRコード
QRコード
タグクラウド
タグ絞り込み検索
最新コメント
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

プロフィール

raimund

昭和40年代生まれ、オットー=クレンペラーの大フアンです。クレンペラーが録音を残したジャンルに加え、教会音楽、歌曲、オペラが好きなレパートリーです。

メッセージ

名前
本文
アーカイブ
twitter
記事検索
カテゴリ別アーカイブ
  • ライブドアブログ