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新・今でもしぶとく聴いてます

スクリャービン

8 8月

スクリャービン「プロメテウス-火の詩」 ゲルギエフ

140808aスクリャービン 「プロメテウス-火の詩 (交響曲 第5番)


ワレリー・ゲルギエフ 指揮
マリインスキー劇場管弦楽団
マリインスキー劇場合唱団
アレクサンドル・トラーゼ:ピアノ
 
(1997年7月 フィンランド,ミケッリ・ホール 録音 旧フィリップス)

140808b 「プロメテウス - 火の詩」はアレクサンドル・ニコラエヴィチ・スクリャービン(1872-1915年)の代表作交響曲「法悦の詩」Op.54の二年後、1910年に作曲された最後の管弦楽曲でした。初演は1911年にモスクワでクーゼヴィツキーの指揮、作曲者のピアノによって行われました。ただ、この時は「色光ピアノ」という鍵盤を押すとそれに対応する光が投影される発光器は使用していません(作曲者は使わなくても可としている)。それを用いた初演は1915年にニューヨークで行われています。スクリャービンはラフマニノフより一年先に生まれ、ストラヴィンスキーやショスタコーヴィチより十年以上年長だったわけですが、今一つ活動した時代をイメージし難いものがありました。同時期の作品にはマーラーの交響曲第8番とかヴォーン・ウィリアムズの「海の交響曲」があります。

 「プロメテウス-火の詩」は交響曲第5番とも呼ばれますが、単一楽章の曲で管弦楽とオルガン、ピアノとハミングの合唱という大編成で分類し難い作品です。「法悦の詩」で無調に踏み出して「神秘和音」を確立し、「プロメテウス-火の詩」でもその作風に拠っています。実際聴いていて何とも言い難い作品で、例えばショスタコーヴィチの交響曲のように突き刺さるような尖った印象とは違い、本当に神秘的な要素がこぼれる作品です。スクリャービンの交響曲第2番(ハ短調 作品29、無調ではない)は京都市交響楽団の定期公演(ゴレンシュタイン指揮)で聴くことができました。

 プロメテウスは作曲技法だけでなく、ルドルフ・シュタイナーの神智学に傾倒していました。「プロメテウス」とは「3.11-福島」以降しばしば見かける名前で、ギリシャ神話の神の名前です。ゼウスの命に背いて神々の火を人間に与えた存在です。この作品ではプロメテウスを英雄視してほめたたえています(歌詞はないが)。

 このCDはゲルギエフ指揮のストラヴィンスキー「火の鳥」とカップリングされていて、スクリャービンは余白を埋める的な位置付けのようです。ちなみに「春の祭典」は「法悦の詩」とカップリングです。

 「プロメテウス」ついでにこの夏はあまり節電云々と言いません。2011年は府庁の本庁舎の執務時間変更の知らせがまわってきた程でした。ただ、地下鉄や私鉄の車内温度は高目にしてエアコンは控え目のままです。それにしても原発の「全電源喪失」という事態の恐怖は再認識させられ、大陸の奥深い場所で津波、洪水の心配が一切無くても原子炉の冷却が出来なくなれば爆発の危険があるわけです。

20 4月

スクリャービンの幻想ソナタ ポゴレリチ

130420_3   スクリャービン ピアノ・ソナタ 第2番 嬰ト短調 作品19「幻想ソナタ」

イーヴォ・ポゴレリチ:ピアノ

(1990年12月 ハノーファー,ベートーヴェンザール 録音 DG)

 昨日4月19日の夜、京都コンサートホールでピアニストのユジャ・ワンのリサイタルがあり、聴きに行ってきました。会場がアンサンブルホールムラタではなく大ホールだったこともあって、空席が目立っていました。昨年12月に売り出し開始のチケットはS席4,000円-B席2,000円なのに、ちょっと気の毒な客の入りでした。ただ、片方の肩を露わにしたタイトなミニスカの衣装に、ピンヒールをガラゴロ鳴らして入場する様子には違和感を覚えました(人それぞれだから構わないが)。プログラムは下記の通りです。

スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第2番 嬰ト短調 作品19「幻想ソナタ」
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第6番 イ長調 作品82

~休憩
リーバーマン:カーゴイル 作品29
ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 作品36(1931年改訂版)

~アンコール
プロコフィエフ:トッカータ 
シューベルト,リス ト:糸を紡ぐグレートフェン
ラフマニノフ:エレジー
ビゼー,ホロヴィッツ:カルメンのテーマによる変奏曲
グルック:メロディ

 最初は神経質な様子だったユジャ・ワンは、それでも演奏が進むにつれて熱がこもってきました。それにつれて会場の集中度も増し、相乗効果だったようで後半のプログラムの方が特に感銘深く感じました。客入りの良くないこういう場合はブラボー職人さんも有益だと思いました。日本を拠点に活動するメジューエワのリサイタルはアンサンブル・ムラタホールの時もあったので、大ホールを埋めるのは並大抵ではないのかと改めて思いました。東京ならもうちょっと賑わうのだろうと思います。

 これらのプログラムの中でCDを持っているのはスクリャービンのソナタだけで、他のプロコフィエフ、ラフマニノフのソナタも聴いたことはあってもほとんど覚えていません。前半の二曲は両方とも、あまり多くはないイーヴォ・ポゴレリチのCDの中にありました。ラフマニノフは無かったと思いますが当初予定されていたラヴェル等、レパートリーが重なっていそうです。

 そこでこのCDを取出してみました。これはリストのピアノ・ソナタとスクリャービンがカップリングされたもので、リストが目当てで購入していたものです。会場で聴いたユジャ・ワンとはかなり違った印象でした。長いアンダンテ楽章はポゴレリチの方に惹かれます。

 ロシアの作曲家アレクサンドル・スクリャービン(1872-1915年)のピアノソナタ第2番は、1892年から1896年にかけて作曲され、作曲者自身によると黒海畔を訪れた時の印象に基いています。第1楽章:Andante、第2楽章:Presto と対照的な速度指定がされ、第2楽章は前楽章の半分以下の演奏時間です。

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昭和40年代生まれ、オットー=クレンペラーの大フアンです。クレンペラーが録音を残したジャンルに加え、教会音楽、歌曲、オペラが好きなレパートリーです。

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