raimund

新・今でもしぶとく聴いてます

プッチーニのラ・ボエーム

7 10月

プッチーニのボエーム カバリエ、ショルティ、LPO/1973年

181007プッチーニ 歌劇「ラ・ボエーム」

ゲオルク・ショルティ 指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

ミミ:モンセラート・カバリエ(S)
ロドルフォ:プラシド・ドミンゴ(T)
ムゼッタ:ジュディス・ブレゲン(S)
マルチェッロ:シェリル・ミルンズ(Br)
コルリーネ:ルッジェーロ・ライモンディ(B)、他

(1973年 ロンドン,ウォルサムストウ・タウン・ホール 録音 RCA)

181007a 昨夜ネット上でモンセラート・カバリェ(Montserrat Caballé 本名:Maria de Montserrat Viviana Concepción Caballé i Folc 1933年4月12日 - 2018年10月6日)の訃報を見つけて、まだ過去記事で扱っていなかったこのボエームのことを思い出しました。昼間に寝すぎたので日付が変わっても目がらんらんとして全く寝つけませんでしたが、ヘッドフォンで聴く気がしなかったので夜が明けてからのことにしました。朝刊(Y新聞)にも彼女の顔写真入りで訃報が載っていて、その写真がちょうどこのCDの頃の写真でした。連休中日なのに職場のメインで使うPCのSSD(ウィンドウズやソフトをインストールしている)を交換するのを先延ばしにしていたのを思い出し、ミサの後にSSDを買って事務所に行きました。

181007b 現在使用中のSSDをコピーしてクローンを作製して付け替えるだけの作業ですがそこそこ時間がかかることがあり、その間にカバリエのボエームを聴いていました。「カバリエの」と書きながら指揮はショルティであり、この時期にはワーグナー作品やマーラーにもかかっていたのでレコードに対する情熱が凄いと思いました。これはプッチーニの廉価箱に含まれているものですが購入動機にはカバリエが参加しているものが複数あったということもありました。ただ、このボエームはドミンゴが突出するというのか、ノートゥングを鍛えて飛び出しそうなロドルフォに聴こえて、ちょっとバランスが悪いようにも思いました。しかし逆にカバリエの歌唱が目立つとも言え、彼女のアリアだけでなく重唱部分も楽しめました。

 これまでミミを歌ったソプラの中で一番人気があったのは誰かと思って色々思い起こすとフレーニとかテバルディの名前がワンパターンながら出てきて、「名曲名盤500(レコ芸編)」の最新版を見ると、やっぱりカラヤン(フレーニ、ベルリンPO,1972年)が21pと第1位、セラフィン(テバルディ、ローマ聖チェチーリア,1959年)が14pで第2位になっていました。カバリエを擁するこのショルティ盤は一応リストに挙がっていて1p獲得の第7位でした。ショルティ指揮のオーケストラは時々ワーグナー以上のごう音になり、これはレーベルの特徴なのかホールの音響なのか、ちょっと作品に合わない感じです。でも古いセラフィンのDECCA盤のオーケストラの音も似たようなところもあり、こんなものかもと思いました。それと同時に色々なオペラの中でカバリエが一番というような定評があったヒロインはどれだろうか思いながら、独特な声、歌唱のミミを聴いていました。

 カバリエに関するニュースではなにか脱税の件があって妙に驚いたことがありました。彼女はカタルーニャのバルセロナ出身だそうで、別に経済的に困ってとかじゃなくカタルーニャ的な銭に細かい、せこい性質とか書いてあったヨタ話も見た覚えがあります。独立問題がクローズアップされているカタルーニャについて、スペイン独特のバルでは自分が頼んで食べたクシ(酒肴、焼き鳥等のクシ)の本数は自己申告が原則なのにバルセロナはそうじゃなくて店側が勘定するとして、マドリードをはじめ他の地域から揶揄されているとか。日本の某都市を中心にした地域に似た体質かなと親近半分、恥ずかしい半分ですが、カバリエの歌唱からはそんなネタは全く想像も付きませんでした。
17 3月

ラ・ボエーム カルテッリ、タリアヴィーニ、サンティーニ/1952年

170317プッチーニ 歌劇「ラ・ボエーム」

ガブリエーレ・サンティーニ 指揮
トリノ・イタリア放送交響楽団
トリノ・イタリア放送合唱団(合唱指揮ジュリオ・モリオッティ)

ミミ:ロザンナ・カルテリ(S)
ロドルフォ:フェルッチョ・タリアヴィーニ(T)
ムゼッタ:エルヴィラ・ラメッラ(S)
マルチェッロ:ジュゼッペ・タッデイ(Br)
ショナール:ピエル・ルイジ・ラティヌッチ(Br)
コッリーネ:チェーザレ・シエピ(Bs)
ベノア:マリオ・ゾルグニオッティ(Br)
パルピニョール:アマンド・ベンツィ(T)

(1952年7月12日 録音 Preiser)

 書店の目立つ場所に沢山積んであった「騎士団長殺し」の数がだいぶ少なくなっているのでやっぱり売れているんだと感心しつつ、ノーベル賞よりもうかるんだろと思いました。それにしても作品に出てくる「免色さん」は結局なにが目当てだったのか、けっこう普通の魂胆だったようにも見えて、そうだとしたらちょっとがっかりな気分でした。枝葉のはなしついでに雨田画伯のレコードの中にプッチーニのオペラ、「ラ・ボエーム」と「トゥーランドット」がありました。具体的な歌手やら歌劇場の名前は出ていないものの、「ばらの騎士」 には1950年代の全曲盤が挙がっていたのでそれと同じくらいの古さのラ・ボエームとしては今回のものも候補になるでしょう(いや、たまたまあっただけ)。

 イタリア・オペラの全曲盤で名前をみかけるサンティーニ指揮のこの録音は当初はチェトラから出ていたようで、それがオーストリアのプライザーから廉価復刻されました。声楽はかなり聴きやすい音ながらオーケストラの方はちょっと貧弱な音質(演奏もか)です。 ミミを歌っているカルテリはこの役が最大の当たり役だったそうで、結婚を機に引退したから録音はあまり残っていないのが残念です。先月のモントゥー指揮の椿姫や過去記事のプレートルのプーランクでも聴いていました。特別に高音がきれいとかそっちの方向よりも、境遇というのかミミという役にいのちを吹き込むような独特な風情の魅力です。

 それに男声陣、来日公演で評判になったタリアヴィーニが歌うロドルフォ、先日にドン・ジョヴァンニが素晴らしかったシエピのコッリーネ、タッディのマルチェッロら個性的で素晴らしい歌手が並んでいます。公演のライヴじゃなくてレコードのためか放送用のセッション録音なのに、聴きだすと作品の世界の中に入り込んだような臨場感があり、現実の世界と並行した別の世界が存在しているような錯覚に落ちかねない気になります(古い録音だからよけいにそう思う)。プッチーニの「ラ・ボエーム」は自分にとってはツボにはまると特にそんな気分になる作品だと思っていました。

 カルテリ(Rosanna Carteri 1930年12月14日,ヴェローナ生 - ) の名前で検索すると他にドニゼッティの「愛の妙薬(セラフィン、スカラ座)」の全曲盤が挙がって来る他、モノクイロの写真が出てきます。なかなかの美人で、それにこの録音の時でまだ22歳というとこになり(プロフィールが正しければ)、その点でも驚きです。レナータ・スコットより4歳上なだけなので、引退してなければ1970年代も十分活躍できはずで改めて惜しい気がしました。
4 10月

プッチーニ「ボエーム」 K.ナガノ、キリ・テ・カナワ、R.リーチ

151004プッチーニ 歌劇「ラ・ボエーム」

ケント・ナガノ 指揮
ロンドン交響楽団
アンブロジアン・シンガーズ
聖クレメント・デンマーク学校合唱団


ミミ:キリ・テ・カナワ(S)
ロドルフォ:リチャード・リーチ(T)
ムゼッタ:ナンシー・グスタフソン(S)
マルチェッロ:アラン・タイトゥス(Br)
ショナール:ジーノ・キリコ(Br)
コッリーネ:ロベルト・スカンディウッツィ(Bs)
ベノア:カルロ・ショーソン(Br)
パルピニョール:バリー・バンクス(T)

(1994年6月,12月 ロンドン,アビーロード・スタジオ 録音 ERATO)

151004a 今年もフィギュア・スケートの季節がやってきました。競技継続を宣言した浅田選手も昨日のジャパン・オープンに登場してそつのない演技の上に、以前とは違う演技をプッチーニの「蝶々夫人」にのせて披露しました。実はロシア勢、特に高いトリプルアクセルを跳んでいるトゥクタミシュワの前にはかすむのじゃないかと思って放送は見ずに、ネットで結果を確認後にスポーツ・ニュースで観るという小心なことをしていました。そんなわけで久々にプッチーニのオペラ「ボエーム」を聴いてみました。蝶々さんはあまり好きじゃなくて、プッチーニと言えばどうしてもボエームの方に関心がわきます。

 このCDはボエームの代表的録音というほどの評判じゃなかったと思いますが、ケント・ナガノ(Kent George Nagano, 1951年11月22日 - )の指揮なので中古品を見付けて購入していました。キャストを見てまず思うのが、失礼ながらキリ・テ・カナワ(Dame Kiri Janette Te Kanawa 1944年3月6日 - )がミミを歌うのか?という、年齢というかキャラというか、せめて十年早くという勝手な願望から来る大丈夫?感です。しかし実際に聴くと若々しいとか初々しいという印象は薄いものの、色々な情感を感じさせて独特な魅力を感じます。他のキャストも線が太い歌唱なので重唱等でも迫力があって劇的な内容です。ただ、第四幕の終わり、ミミの死、それ以降とかはもっと繊細な、あるいはプラスアルファ的なものがあればと思いました(音だけで聴いているから仕方ないか)。

151004b ケント・ナガノは今シーズンからシモーネ・ヤングの後任でハンブルク歌劇場の音楽監督に就任しているはずですが、この録音当時は写真(若い頃の間寛平)のようなヘアスタイルでハレ管弦楽団の首席やリヨン国立歌劇場の首席を務めていました。ケント・ナガノの1990年代の録音にはR.シュトラウスのナクソス島のアリアドネやプロコフィエフ、ストラヴィンスキーのオペラもあり、かなり広範なレパートリーです。その後に映像ソフトでパルジファルやローエングリンが出てきてそれまでのCD以上の演奏だと思いました。

 ブログを始めて以降にケント・ナガノの指揮が気に入り、特に上記のワーグナー作品やベートーベンに注目していました。それだけでなく、このCDよりも古いプーランクの歌劇「カルメル会修道女の対話」メシアンの歌劇「アッシジの聖フランシスコ」も素晴らしかったので、遅まきながら自分の中でかなりの存在になりました。今回のボエームはそれらに比べると微妙な感銘度でした。

 

13 11月

ラ・ボエーム テバルディ、プランデッリ エレーデ・1951年

121113 プッチーニ 歌劇「ラ・ボエーム」


アルベルト・エレーデ 指揮

ローマ・サンタ・チェチーリア音楽院管弦楽団
ローマ・サンタ・チェチーリア音楽院合唱団


ミミ:レナータ・テバルディ(S)
ロドルフォ:ジャチント・プランデッリ(T)
マルチェッロ:ジョヴァンニ・インギレッリ(Br)
ムゼッタ:ヒルデ・ギューデン(S)
ショナール:フェルナンド・コレーナ(Br)
コルリーネ:ラファエル・アリエ(B)
パルピニョール:ピエロ・デ・パルマ(T)
ブノア/アルチンドロ:メルキオーレ・ルイーゼ(B)
軍曹:イルデブランド・サンタフェ(B)、他
 

(1951年7月7月 ローマ 録音 DECCA/NAXOS)

* ボーナストラック有(CD2:9-16~ボエームのハイライト、1949,1950,1951年ニューヨークでの録音 RCA)


 これはLPレコードの最初期に録音された「ラ・ボエーム」の全曲盤で、テバルディが29歳になる年の録音です。DECCAの輸入盤でもまだ入手可能かもしれませんが、手元にあるのはNAXSOSのヒストリカル・シリーズです。戦後初のバイロイト音楽祭と同じ頃に録音されたわけで、古いだけでなく感慨深いものがあります。


 テバルディを主役に起用したプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」、「トスカ」、「蝶々夫人」全曲盤はステレオ録音でDECCAから出ていました。ところがデッカ・レーベルは、その七、八年くらい前にもデバルディを起用してラ・ボエームだけではなく三作品とも録音していました。指揮は三作品ともにアルベルト・エレーデです。


 エレーデはイタリア歌劇団の第二回来日公演で指揮をしている他、マリオ・デル・モナコのオテロ旧録音指揮でも名前が見られます。エレーデはイタリア・オペラ以外の録音で名前を見た記憶が無いので、ローカルなイタリア・オペラ職人なのだと思ってしまいますが、経歴を見るとドイツ系のオペラの経験も多く積み、ドイツ、スェーデンでもポストを得ていました。


 日本語の帯には「29歳のデバルディ、うら若き美声のミミ」と書いてあり、短い解説コメントには、デバルディが「天使の声」と呼ばれ人気を高めつつあったとも書いてあります。古い録音で、オーケストラの音は貧弱ですが声楽はよく聴こえてその美声の歌が堪能できます。ロドルフォのプランデッリも素晴らしく(現代ではやや古めかしい歌い方なのか?)、第1幕のフィナーレではミミがかすむ程です。ミミとロドルフォ以外では、ムゼッタをウィーン生まれギューデンが歌っているのが注目です。この時点で三十代前半で、テバルディともどもまだアラサーの年齢だったわけです(当時でも若いという感覚だったのだろうか)。おまけにロドルフォ役のプランデッリも37歳で、メジャー・レーベルのオペラ全曲盤にしては主な役を若い歌手が歌っているのが印象的です。


 この復刻CDは、二枚目に1949~1951年にニューヨークで録音された(RCA原盤)ラ・ボエームのハイライトが収録されています( なんと冷たい手を、私の名前はミミ、ムゼッタのワルツ、ミミの別れ等がディ・ステファノ、アルバネーゼ(ミミ)、マンセルの歌で)。このハイライトの音源は元々全曲盤ではないようです。


 テバルディがミミを歌う「ラ・ボエーム」のDECCA再録音(1958年・ステレオ)は、オーケストラ、コーラスは同じくサンタ・チェチーリア音楽院で、指揮がセラフィンでした。そちらの再録音の方が有名でしたが、旧録音のプランデッリ、ギューデンとの共演も聴きものだと思いました。

12 11月

ラ・ボエーム スコット、クラウス レヴァイン 1979年

121111_2 プッチーニ 歌劇「ボエーム」抜粋


ジェイムズ・レヴァイン 指揮

ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
アンブロジアン・オペラ合唱団

トリニティ少年合唱団

ミミ:レナータ・スコット(S)
ロドルフォ:アルフレード・クラウス(T)
マルチェッロ:シェリル・ミルンズ(Br)
ムゼッタ:キャロル・ネブレット(S)
ショナール:マッテオ・マヌグエッラ(Br)
コルリーネ:ポール・プリシュカ(B)、他


(1979年 録音 EMI)
 

 今日のお昼、京都市役所前の広場あたりに人が集まって演説の声がきこえるので立ち止まると、自民党の各支部の候補者らしき人が選挙・街宣車に乗っていました。先頭を切ってマイクを握ったのは伊吹元幹事長で、張りのある声だったのでもっと若い人と間違えました。しかし人の集まり具合は、平成17年の郵政解散の時とくらべると低調で、本当に近いうちに選挙になったとしても大勝はおぼつかないかもしれません。
 

121112a   動画サイトのyoutubeに、レナータ・スコットが歌う「わたしのお父さん」の場面がアップされていたことがあります。だいぶ前のメトロポリタン歌劇場での「ジャンニ・スキッキ(プッチーニ)」の舞台で、ラウレッタ役のスコットとスキッキ役のバリトン(誰か忘れてしまった)だけが映っていました。有名なアリアが情感がこもっていて率直に感動的だったので、それ以来いろいろなオペラの録音でスコットが歌っていたこを思い出して、聴き直してみたくなりました。(なお、アリア「わたしのお父さん」の「お父さん」は、文字通り父親の意味であって、大屋政子の言うような夫、配偶者の意味ではない。)このCDは全曲盤ではなく抜粋盤ですが、当然聴かせどころは収録されています。レヴァインがEMIへ録音したものは珍しく、これの他は同じくプッチーニのトスカがありました。
 

 スコットは「 ラ・ボエーム 」の1961年・ヴォットー・DG盤でもミミを歌っていたので、今回はその録音から約18年経過した再録音です。ヴェルディの「ラ・トラヴィアータ」と同じパターンで、その再録音盤と同じくアルフレッド・クラウスが相手役です。ボエームのDVDのレビューの中に、ミミがスコットではなくフレーニだったら良かったという厳しいコメントが時々見られます。それは多分、声質や容姿の方からの意見だと思いますがこのCDでも歌そのものは圧倒的だと思いました。
 

 レヴァインが1970年代に残したオペラの全曲盤は、ナショナルPOやフィルハーモニア管等普段歌劇場のピットに入っていないオーケストラとのセッション録音です。ムーティもそれらのオケと同様に録音していいますが、我々オペラ・ハウスに遠い環境にある者には分かり易い録音です。これらは近年一気に廉価化していて、聴きたいものは見つけた時に購入しておかないとすぐに消えてしまいます。このラ・ボエームも全曲盤でも出ていました。
 

 ラ・ボエームの冒頭部分は、序曲無しに短いオーケストラの序奏で始まります。スナック菓子の袋を開け損ない中身が飛び出したようにマルチェッロ、ロドルフォが歌い出します。こういう出だしはファルスタッフの影響が指摘されるのもうなずけます。この時期のレヴァインらしく、オーケストラ部分もシャープで明快です。クリスマス・イヴの宵から物語が始まっていますが、こんな浮かれた雰囲気は若い時の特権でしょうが、自分自身を振り返ってみるとこんな感じではなかった気がします。

11 10月

ラ・ボエーム スコット、ポッジ ヴォットー指揮フィレンツェ五月祭O

121011 プッチーニ 歌劇「ボエーム」

アントニーノ・ヴォットー 指揮
フィレンツェ五月祭管弦楽団、合唱団

レナータ・スコット(S:ミミ)
ジャンニ・ポッジ(T:ロドルフォ)
ティート・ゴッビ(Br:マルチェッロ)
ヨランダ・メネグッツァー(S:ムゼッタ)
ジョルジオ・ジョルジェッティ(Br:ショナール)
ジュゼッペ・モデスティ(Br:コルリーネ)、他

(1961年7月 フィレンツェ,テアトロ・コムナーレ 録音 DG)

 「わたしの名前はミミ」で、「本当の名前はルチア」というのは、第一幕でミミがうたう有名なアリア「私の名前はミミ」の一節で、何故ルチアがミミと呼ばれるのか不思議です。これまで正解らしきものを読んだことがなく、漫才の人生幸朗でなくても「何故(なんでや)?」と言いたくなります(この話もお決まりの突っ込み・枕詞のようなもの)。ボエームもカーナビのHDに録音していて、時折聴いている好きな作品です。そのHDに入っているのはテバルディがミミを歌ったセラフィン指揮、ローマ聖チェチーリア管他で、その他にも多数のLP、CDが出ています。

 ミミをうたうソプラノと言えば、フレーニか、近年ではゲオルギューの名前が最初に出るかもしれませんが、それ以前にもリッチャレッリ、カバリエ、テバルディ、カラスら大物が録音を残しています。このCDは、レナータ・スコットが27歳の時のもので、翌年に同じくヴォットー指揮、スカラ座で録音した椿姫が素晴らしかったので、対訳抜きの廉価仕様で購入していました。声の性格や人物の性格等演劇的な見方では、スコットのミミというのは今一歩とかいろいろな評があるようです。しかし、音だけで聴く分には椿姫のヴィオレッタ共々スコットのミミは特に気に入っています。特に第三幕が魅力的です。

121011a  プッチーニの四作目(妖精ヴィッリ、エドガール、マノンレスコーに続く)のオペラ「ラ・ボーエーム」 (四幕のドランマ・リリコ)は、1893年から1895年12月にかけて作られ、1896年2月1日にトリノでトスカニーニの指揮で初演されました。台本はジュゼッペ・ジャコーザルイージ・イッリカが、フランス人のアンリ・ミュルジェール(1822-61)の自伝的短編集「ボヘミアン生活の情景 “ Scenes de la vie de boheme ” (1848年)」を原作として作りました。初演は前作のマノン・レスコー程の熱狂的な喝采とまではいかないまでも好評で、再演されるごとに人気が上がりました。昨シーズン新国立劇場でも上演されていたようですですが、例年一月は身動きが出来ないので東京までそれだけのために出かけるのは無理でしょう(最初、来年の1月と間違えてしまった)。

第一幕 パリのカルチェ・ラタンの屋根裏部屋
第二幕 カフェ・モミュスの前
第三幕 夜明け雪のパリ郊外
第四幕 初めの屋根裏部屋

 第四幕ではミミの病状が悪化して亡くなり、ミミとロドルフォの恋は若い時のまま切り取られ時間が止まった格好で終わります。しかし、現実の世界ではしばしば容易には病死しなくて、何十年後かにお互いが、あるいは片方だけが心身ともに変わり果てた姿で再会したりするものです。ミミはけっこう太ってやり手婆さんだったり、ロドルフォの方が何をやっているか定かでないが金だけは持ってる金ぴかの企業舎弟になっているとか。ボエームの初演からしばらくの専門家の批評には、芸術的な価値が低いといった批判が少なからずあって、客席の喝采程は肯定的でなかったということです。しかし、理屈抜きに旋律の美しさだけでも抗し難い魅力だと思います。

 ノーベル賞のシーズンを迎えて、山中教授に続きここ数年候補に上がる村上春樹は選ばれず、中国の莫言 氏が受賞しました。作品は読んだことはありませんが映画「赤い高粱」は観に行った記憶があります(内容はよく覚えていない)。ノーベル文学賞の条件とか基準がどんなものか分からないながら、この分では村上春樹はちょっと有名になり、売れ過ぎた感もあります。

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昭和40年代生まれ、オットー=クレンペラーの大フアンです。クレンペラーが録音を残したジャンルに加え、教会音楽、歌曲、オペラが好きなレパートリーです。

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