イリーナ・メジューエワ:ピアノ
(2017年6月,8月富山県魚津市,新川文化ホール 録音 若林音工)
気が付けば2018年のサッカー・ワールドカップロシア大会は明日開幕です。それに間に合ってIOデータの55インチディスプレイ(テレビ受信機能無し)の設置とマルチチャンネルのスピーカーや機器の準備がとりあえず出来ました。別に真夜中に放送されるサッカー中継を大音量の5.1chで視聴するつもりは無くて、本命はワーグナー作品などの映像ソフト再生でした。スピーカーからややこしい電子音が何度も出る自動設定を終えて試しにSACDプレーヤーとBDプレーヤーを使ってみると予想と違うこともあり、サラウンド用スピーカーをAVアンプからプリアウトしてプリメインアンプ経由でつないでいるのを止めて切り離した方が良さそうな感じでした。それからOPPOのプレーヤーはアナログ・2chで接続した時の音の方が特徴的で捨てがたいと思いました。どっちにせよ狭い畳の和室という環境なので基本的にそんなに変わらないようです。
イリーナ・メジューエワのリスト「巡礼の年」は第3年から作曲時期を遡る形で録音が進み、この第2年他が第二弾にあたります。「第3年」が1883年の出版だったのに対して「第2年イタリア」は1858年に出版され、大半は1839年には完成していたとされています。「
第2年補遺 ヴェネツィアとナポリ」は1859年に現行の形に完成して1861年に出版されたもので、第2曲以外は1840年には初稿と言えるものが出来ていました。
リストが愛人のマリー・ダグー夫人とイタリアへ旅行、滞在した際にふれた芸術に基づいて作曲したもので、晩年の作品であった「第3年」とは違って劇的、動的な、ピアノの交響詩といった作風になっています。それが何故「巡礼」なのか?とも思いますが、観光以上に何らかの意味もあった旅、くらいに解釈しています(これだけの作品が生まれたのだから)。
メジューエワはこれまでモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトやバッハ、ブラームス、シューマン、ショパン、リスト、ドビュッシーにメトネルといった作曲家の曲をある程度まとまった数で録音してきています(のだめのレッスン予定に入っている作曲家がほぼ含まれる)。何となくリストなら「巡礼の年第3年」のような作品がよく合うと思っていましたが、今回「巡礼の年 第2年」を聴いて今まで以上に素晴らしいと思えて、こういう内容の作品の方がもっとぴったりするかとも思いました。そういえば新書版の著書の中で、シューベルトの作品についてドイツやオーストリアのピアニストの演奏はあっさりし過ぎているというニュアンスの意見があったのが印象的でした。その考えはこういうリストの演奏を聴いてなるほどと納得させられましたが、シューベルト作品も現在弾いたなら過去の録音とは違ったものになっていそうです。