マーラー 交響曲 第10番 嬰ヘ長調(クック版第3稿第1版)
ミヒャエル・ギーレン 指揮
南西ドイツ放送交響楽団(SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg)
(2005年3月17-19日 フライブルク,コンツェルトハウス 録音 Hänssler)
新年度になって、NHK・AMラジオの午前の情報番組がちょっとイメージが変わったようです。メインのパーソナリティは木曜の水道橋博士が降板しただけで他の四日間は続投なのに、なんとなくお上側からすれば「浄化」されたような妙なスッキリ感です。水道橋博士はツゥイッターを熱心にやっているそうでしたが、先月に他の曜日で twitter の再入門のようなコーナーをやっていました。しかし既に用語やら使い方を忘れてしまい、何もつぶやかず終いです。
先日のオペラ「カルメル会修道女の対話」のラスト、15人分のギロチンが落ちて来る音は強い印象が残ります。それと似たような音は別の作品で聴いたことがあると思っていると、マーラーの交響曲第10番・補筆版の中でハンマーの強打のような打楽器の音が加わるところがあって、それの部分を思い出しました。第五楽章に入ったあたりで大きな打撃が現れて、居眠りしかけていたらたたき起こされます。マーラーの第10番を聴いてギロチンを連想したことは無く、氷が解けて落ちたりするむしろ前向きな光景を想像していました。「カルメル会修道女の対話」も読み替え演出によって違う描かれ方もあると思いますが、それでもマーラーの第10番と接点があるとは思い難く、ただ強い打撃音だけで繋がります。
ギーレンは2003年中にマーラーの交響曲を第1-9番まで録音し(1988年から始めて)、全集化していました。その後に大地の歌と第10番補筆版が発売されましたが、前者は全集の九曲と録音時期が重なっています。そういうわけで第10番の補筆版がギーレンのマーラーの中で一番新しい交響曲録音ということになります。
ギーレン・SWRSO:2005年
①24分46②11分53③4分10④12分54⑤23分20 計77分03
レヴァイン・フィラデルフィア:1978年
①24分39②11分57③4分18④12分41⑤28分32 計82分09
ギーレンは特に今世紀に入って1970-80年代の演奏とイメージが変わって人間味のある?血の通った?演奏になってきたようなことが時々指摘されます。そうした指摘に注目すればこの第10番は、かつての冷血なギーレンの演奏とは一線を画するくらいのはずですが、正直そんなに大きく変わったような驚きは感じません。あいかわらず金属の光沢を思わせる弦とかは共通のように思えます。演奏時間・トラックタイムは第五楽章以外は35年以上昔のレヴァインのセッション録音と大差ありません。補筆の稿・版はギーレン盤と同じ(確かめられないがそのように表記、紹介されている)なので、第五楽章のこの差は大きいものです。