ハルトムート・ヘンヒェン 指揮
オランダ・フィルハーモニー管弦楽団
ジークムント:ジョン・ケイズ
フンディング:クルト・リドル
ヴォータン:アルベルト・ドーメン
ジークリンデ:シャルロッテ・マルジョーノ
ブリュンヒルデ:リンダ・ワトソン
フリッカ:ドリス・ゾッフェル、他
(2005年9月 アムステルダム音楽劇場 録音 Etcetera)
この三月に大津市のびわ湖ホールで上演されるはずだったニーベルングの指環四部作の四作品目「神々の黄昏」は、無観客で演奏・上演してネット配信されました。ふと思い出したのがその二日分の公演をブルーレイ・ソフトにして販売されることで、さっそくHPで確認したところ6月27日から販売となっていたので両方とも購入しました。ほとんど一発収録?、カメラやマイクの数は?等々通常なら購入躊躇のところですが、年度末にワーグナー作品とかを上演することが今後も続くことを祈念してカウンター受け取りで購入しました。今年度末のローエングリンは・・・、なかなか楽観視できない状況です。
オランダのネザーランド・オペラは映像ソフトがけっこう出回っていて、指輪四部作も1990年代末の公演が日本語字幕付DVDが発売されていました。このCDは演出、舞台セット等はほぼそのままで行われていた六年後の公演をライヴ録音したものです。主要キャストは入れ替わり、音声だけのSACDということで映像ソフトの方の内容が立派だっただけに期待しましたが、音質については映像ソフトと大きく違うとまではいかない印象です。それでもメジャーなレーベルが出した指輪のライヴ盤(名は出さないが)に比べると格段に聴き易く良好で、舞台上に響く音声、そんな広がりを感じさせるように録音したという感じは魅力がありました。風の音等の効果音は別に無くてもいいような気がしますが、ライヴ収録なら入っているほうが多いのでやむをえません。
第二幕は冒頭からジークムントの死の予告場面、最後まで音質も含めて特に魅力的でした。ジョン・ケイズのジークムントは第一幕では印象が薄いと思いましたが、第二幕の死の予告では歌詞の内容がよく伝わる気がして、その場面が引き立ちました。フリッカのゾッフェル、ブリュンヒルデのワトソン、ジークリンデのマルジョーノら女声陣が素晴らしくて、この公演も映像付きだったらと思いました。第三幕もヴォータンのドーメンがやや弱々しい声かなと思うくらいで、立派な演奏だと思いました。後半の告別あたりはかえってこういう声のほうが良いかもとも思えます。
SACD仕様でマルチチャンネルも再生可能なので、プレイヤーとAVアンプをアナログ(7.1ch)接続とHDMI 接続の両方で視聴していると、何となく後者の方がサラウンドから出る音が大きいような気がしました。製品レビューによるとアナログ接続の方が良いような書き方だったので、もう少し音量を上げないと分からないのかとも思いました。ただ、客席の拍手や歓声がサラウンドスピーカーからきこえたところで「別に・・・」といったところです。第一幕を最初に聴いた時はアナログ入力経由で聴いて微妙な音質だと思い、第二、三幕のHDMI経由の音質は各chともよくきこえてなかなかだと思いましたが、単に接続だけじゃなく再生モード、設定が切り替わっていたかもしれません。