フリッツ・ブッシュ 指揮
デンマーク放送交響楽団
デンマーク放送合唱団
シェシュティン・リンドベリ=トルリンド(S)
エリセ・イェーナ(Ms)
エリク・ショーベリ(T)
ホルガー ビルディン(Bs)
*復刻CDには9月7日表記があるものがあった(聴いたことはないけれど)
*復刻CDには9月7日表記があるものがあった(聴いたことはないけれど)
(1950年9月9日 コペンハーゲン ライヴ録音DG)
そろそろ今年最後の更新です(今年の更新ペース、調子からして)。一年間閲覧、コメントを頂いた方々、イラついても炎上させずにこらえて下さった方々、ありがとうございました。時々見直してはいるものの、コメントが来ていることに気が付かずに終わったものもあるかもしれませんがご容赦ください。来る年が皆様方にとって良い年でありますように。/さて、年末ということで、公演に足を運ばないまでも第九のレコードです。この第九のLPも店頭(ラ・ヴォーチェ京都)にあったものを購入してたものです。ドイツ・グラモフォンのマークが付いていたので目立ちました。
古い録音で少々ややこしい音質でも、かえってそれが慕わしい気分の時もあって、それを狙ったというのも購入動機の一つです。実際に聴いてみるとそこそこ聴き易くて、当然海賊版のような類とは違っています。それはともかく、フリッツ・ブッシュ(Fritz Busch 1890年3月13日 - 1951年9月14日)はモーツァルトのオペラをはじめ、本場の批評なんかでけっこう言及されています。その割に代表的なレコードが少なくて、ベートーヴェンやハイドンの交響曲はどんな演奏だったかと思います。
F.ブッシュ・デンマークRSO/1950
①14分24②10分44③13分54④23分41計62分43
フルトヴェングラー・バイロイト/1951年7月29日*ORF
①18分10②11分56③19分23④25分01 計74分30
ヴァント・ケルン/1955年
①16分33②11分19③17分20④23分53 計69分05
カラヤン・PO/1955年
①15分08②10分08③16分04④24分10 計65分30
クレンペラー・PCO/1956年ライブ
①16分24②14分48③13分56④22分48 計67分56
クレンペラー・PO/1961年11月27日(Testament)
①15分48②15分04③13分32④23分35 計67分59
クレンペラー・PO/1960年ウィーン芸術週間ライブ
①16分39②14分58③14分05④24分35 計70分17
クレンペラー・ニューPO1964年11月(モノクロLD)
①17分46②15分38③14分38④24分10 計72分12
この第九は結構速いテンポで、直線的というか第1楽章は前のめりで進んでいきます。特に第3楽章が急ぎ足という印象を受けますが、この年代だけでなく70年代くらいまでは第3楽章でこういう演奏は珍しいのではと思います。クレンペラーの場合は第2楽章を遅目にするというバランスなのに対してブッシュは全楽章が速目で通しています。何となく現代の演奏、ピリオド奏法折衷に通じるものがあり、聴いているとそれ以上の清々しさが感じられます(何故か)。第4楽章になるとテンポはあまり気にならなくなり、第九の熱気を濃縮したような魅力を感じます。
独唱者の方はあまり目立ちませんが、終楽章のコーダは規則正しく、快速のまま完結していきます。古い放送用の音源ながら、無機的等の否定的な言葉は無縁な充実した第九だと思いました。この演奏はCD化されていて、レオノーレ序曲第3番とカップリングされたものもありました。フリッツ・ブッシュはこの演奏の約一年後に亡くなったのでこれから盛んになるLPレコードの録音を残せずに終わりました。1933年からドイツを離れたという潔癖さ、信念の人だったことも考えると惜しい限りです。