raimund

新・今でもしぶとく聴いてます

指:フリッツ・ブッシュ

26 12月

第九 フリッツ・ブッシュ、デンマークRSO/1950年9月LP

221226bベートーヴェン 交響曲 第9番 ニ短調 Op.125

フリッツ・ブッシュ 指揮
デンマーク放送交響楽団
デンマーク放送合唱団

シェシュティン・リンドベリ=トルリンド(S)
エリセ・イェーナ(Ms)
エリク・ショーベリ(T)
ホルガー ビルディン(Bs)

*復刻CDには9月7日表記があるものがあった(聴いたことはないけれど)
(1950年9月9日 コペンハーゲン ライヴ録音DG)
 
221226 そろそろ今年最後の更新です(今年の更新ペース、調子からして)。一年間閲覧、コメントを頂いた方々、イラついても炎上させずにこらえて下さった方々、ありがとうございました。時々見直してはいるものの、コメントが来ていることに気が付かずに終わったものもあるかもしれませんがご容赦ください。来る年が皆様方にとって良い年でありますように。/さて、年末ということで、公演に足を運ばないまでも第九のレコードです。この第九のLPも店頭(ラ・ヴォーチェ京都)にあったものを購入してたものです。ドイツ・グラモフォンのマークが付いていたので目立ちました。

 古い録音で少々ややこしい音質でも、かえってそれが慕わしい気分の時もあって、それを狙ったというのも購入動機の一つです。実際に聴いてみるとそこそこ聴き易くて、当然海賊版のような類とは違っています。それはともかく、フリッツ・ブッシュ(Fritz Busch 1890年3月13日 - 1951年9月14日)
はモーツァルトのオペラをはじめ、本場の批評なんかでけっこう言及されています。その割に代表的なレコードが少なくて、ベートーヴェンやハイドンの交響曲はどんな演奏だったかと思います。

F.ブッシュ・デンマークRSO/1950
①14分24②10分44③13分54④23分41計62分43

フルトヴェングラー・バイロイト/1951年7月29日*ORF
①18分10②11分56③19分23④25分01 計74分30

ヴァント・ケルン/1955年
①16分33②11分19③17分20④23分53 計69分05
カラヤン・PO/1955年
①15分08②10分08③16分04④24分10 計65分30
クレンペラー・PCO/1956年ライブ
①16分24②14分48③13分56④22分48 計67分56
クレンペラー・PO/1961年11月27日(Testament)
①15分48②15分04③13分32④23分35 計67分59
クレンペラー・PO/1960年ウィーン芸術週間ライブ
①16分39②14分58③14分05④24分35 計70分17
クレンペラー・ニューPO1964年11月(モノクロLD)
①17分46②15分38③14分38④24分10 計72分12
 
221226a この第九は結構速いテンポで、直線的というか第1楽章は前のめりで進んでいきます。特に第3楽章が急ぎ足という印象を受けますが、この年代だけでなく70年代くらいまでは第3楽章でこういう演奏は珍しいのではと思います。クレンペラーの場合は第2楽章を遅目にするというバランスなのに対してブッシュは全楽章が速目で通しています。何となく現代の演奏、ピリオド奏法折衷に通じるものがあり、聴いているとそれ以上の清々しさが感じられます(何故か)。第4楽章になるとテンポはあまり気にならなくなり、第九の熱気を濃縮したような魅力を感じます。

 独唱者の方はあまり目立ちませんが、終楽章のコーダは規則正しく、快速のまま完結していきます。古い放送用の音源ながら、無機的等の否定的な言葉は無縁な充実した第九だと思いました。この演奏はCD化されていて、レオノーレ序曲第3番とカップリングされたものもありました。フリッツ・ブッシュはこの演奏の約一年後に亡くなったのでこれから盛んになるLPレコードの録音を残せずに終わりました。1933年からドイツを離れたという潔癖さ、信念の人だったことも考えると惜しい限りです。
18 4月

「ローエングリン」 メルヒオール、ブッシュ、メト/1947年・LP

210418cワーグナー 歌劇「ローエングリン」

フリッツ・ブッシュ 指揮
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
メトロポリタン歌劇場合唱団

ローエングリン:ラウリッツ・メルヒオール
エルザ:ヘレン・トローベル
オルトルート:マーガレット・ハーショウ
テルラムント:オジー・ホーキンス
国王ハインリッヒ:デッジョ・エルンスター
軍令使:マック・ハレル 他

(1947年 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 録音 FONIT CETRA)

   昨日の朝、日の出前後に目が覚めたらすぐ近くで鶯の鳴き声がきこえました。試し鳴きでもしているかのように「ホー」の部分と「ホケキョ」の部分に間があいて、最後は「ホケキョキョ」と我々人間が覚えているフレーズとは違う異稿が聴こえてすぐに鳴きやみました。先週は天ケ瀬ダム下流の方を通った際に車を止めて外へ出たら(立ち・ヨンでも、野・・のためでもない)、山の方から鶯の声が盛大にきこえていて今年は早いかなと思ったところでした。

210418a これは FONIT CETRA から出ていたオペラ・ライヴのシリーズの一つです。第二次大戦後間もないニューヨークのメトロポリタン歌劇場でのローエングリンの公演です。何度かCD化されたようですがたまたまチェトラのLPが見つかったので、ラウリッツ・メルヒオール(Lauritz Melchior 1890年3月20日,コペンハーゲン - 1973年3月19日,サンタ・モニカ)のローエングリンということもあって購入していました。今回モノラル用カートリッジを付けてそこそこうまく調整できたので一気に聴きました。LP四枚組ながら所々カットがあるようです。この年代なので音質は仕方ないとして、それでも独唱は鮮明に聴こえています。

210418b 主要キャストではやっぱりメルヒオールが際立っています。後年のローエングリン役でコロ、ホフマン、クラウス・フロリアン・フォークトあたりの声質を聴いていても圧倒的に魅力的です。ジークフリートやトリスタンが似合う硬く強い声、これぞヘルデンテノールという部分だけでなく甘い美声という面も感じ取れるのが魅力です。ドナルド・キーン氏の著作で紹介されていたメルヒオール、実はドイツではなくデンマーク出身で、1926年からメトロポリタン歌劇場でワーグナー歌手として活躍しました。

 それ以外のキャストではエルザのヘレン・トローベルは原作のエルザより年上でタフな印象を与えるものの立派な歌唱です。女声では彼女よりもオルトルートのマーガレット・ハーショウの方が目立っていました。男声ではテルラムントのオジー・ホーキンスの声がちょっと優男風な声質なのが面白くて、おかげで舞台を観ていなくても歌唱で人物を聴き分けられそうです。オーケストラの方は割と速目で進んで行きますが、もう少し音質が良ければと思いました。

 フリッツ・ブッシュ(Fritz Busch 1890年3月13日 - 1951年9月14日)という名前は20世紀前半のドイツ語圏の楽団の話題に名前が出てくる他、グライドボーン音楽祭でのモーツァルトのオペラがCD化されて有名でした。19世紀後半生まれの巨匠らと年齢はどれくらい違うのか覚えてなかったところ、クレンペラーよりも5年、クナより2年若いくらいでした。ただ、LPレコードが盛んになる前に急逝したので残された録音が限られているのが惜しいところです。ケルン音楽院で学んだ後、リガ、アーヘン、シュトゥットガルトの劇場の後、1922年にドレスデンの音楽監督を務めました。1933年以降はナチを嫌って国外へ出たという点はエーリヒ・クライバーと同様でなかなかの信念の人のようです。
26 8月

ドン・ジョヴァンニ F.ブッシュ・Glyndebourne/1936年

170826aモーツァルト 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 K.527

フリッツ・ブッシュ 指揮
グラインドボーン音楽祭管弦楽団
グラインドボーン音楽祭合唱団

ドン・ジョヴァンニ:ジョン・ブラウンリー
ドンナ・アンナ:アイナ・スーエズ
ドンナ・エルヴィーラ:ルイーゼ・ヘレツグルーバー
レポレッロ:サルヴァトーレ・バッカローニ
ドン・オッターヴィオ:コロマン・フォン・パタキー
騎士長:デイヴィッド・フランクリン
ツェルリーナ:オードリー・マイルドメイ
マゼット:ロイ・ヘンダーソン

(1936年6月29日-7月5日 グラインドボーン歌劇場 ライヴ録音 Warner Classics)

170826b 昨日宝くじ売場へ行ってサマージャンボ他の当選をチェックをしたところ、やっぱり貧乏神に魅入られてか300円が3枚当たっただけでした(望外とか僥倖という言葉を体感したいもの
)。村上春樹の「騎士団長殺し」はまだ店頭に並んでいるものの赤字になる見通しだとか。1Q84の時も結局どうなのかというか、完結した充足感を感じられない、読者が延々と循環する世界から突然つまみ出されたような感覚で、内容を詳しく解説してほしいくらいでした。先日、盆前に台風が紀伊半島に上陸した夜、枕元の壁、柱の方からチッという鳥が鳴くような音が耳について寝付かれなかったことがありました。ネズミでも小動物でもなく、やっぱり鳥かと思いながら正体は分からずじまいでした(これが鈴の音だったら小説と同じでいっそうキモイ)。風雨を避けた雨宿りだとしても深夜に鳥がそんなことをするのか?、あるいは鳥以外の変な動物が巣でも作り出したら嫌だと気になりました。

 この1930年代のグライドボーン音楽祭でのドン・ジョヴァンニは、「名作オペラ ブックス(音楽之友社)~ アッティラ・チャンバイ、ディートマル・ホラント編の “ rororo operabücher ” の日本語版」の巻末掲載の「ディスコグラフィへの注釈」で最初に挙げられているレコードでした。と言ってもこの古い音源を絶賛しているのでもなくて、ワルター指揮の1940年代の録音のところで次のように言及していました。

 「このオペラの持つ生命力、興奮した衝迫、たえず内からわき起こってくるエモーション、こうしたものは、実はフリッツ・ブッシュ(Fritz Busch 1890年3月13日 - 1951年9月14日)による1936年の録音において出会うことができる」としています。同じように古い音源でも個人的にはワルターよりもフリッツ・ブッシュの方にずっと魅力を感じるのでその評はなるほどと思います。ブッシュの年代の指揮者なら程度の差こそあれ、独特のアクというか癖のようなものが目立ってくるものだと思いますが、ブッシュの場合特にモーツァルトのオペラではそういうところが少なく、作品と作曲家の後ろに下がって(オーケストラの後ろにはいないと思うが)いるのか、ブッシュの存在を忘れているような妙な魅力があると思います。

 この録音では歌手の歌唱も含めて大げさ、わざとらしさという言葉から縁遠くて、もっと後年の録音と似ているような内容に思えます。
何となくクーベリックが振ったモーツァルトのシンフォニーを思い出すような魅力だと思いました。ブッシュは自身はユダヤ系民族ではないけれどナチスを嫌って1933年にドイツを離れて、1951年に亡くなっているのでレコード録音の数は限られています。それでもドキュメンタリー映像や往年の巨匠を論じるところでは名前は出てきて、「名作オペラブックス」の巻末でも時々出てきます。
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昭和40年代生まれ、オットー=クレンペラーの大フアンです。クレンペラーが録音を残したジャンルに加え、教会音楽、歌曲、オペラが好きなレパートリーです。

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