180801イベール 交響組曲「寄港地」

ジャン・マルティノン 指揮
フランス国立放送管弦楽団

(1974年10月28-30日,11月7日 パリ,サルワグラム 録音 EMI)
 
 今朝京都市の御池通の地下を歩いていると今月に入って流れていた祇園囃子が聴こえないのに気が付き、そういえば七月も今日で終わりなのに気が付きました。祭りも今日に最後の行事があって終わりなるはずでした。八月のカレンダーをながめると11日が祝日なだけで、それが土曜に重なるので盆に長期休暇がある企業でもなければ砂漠のようなひと月に見えました。日本は国民の祝日がかなり多いそうですがバカンスどころか有給もままならないので、8月の盆に合わせるかその前に、例えば8月6日から9日までを祝日にするとかやってもらいたいところです。

 パリ生まれのフランスの作曲家、イベール(Jacques François Antoine Ibert 1890年8月15日 - 1962年2月5日)についていつ頃に活躍したか、代表作の「寄港地」を作曲した年代なんかは全然頭の中に入っておらず、イベールに限らずロマン派以降のフランスの作曲の名前を誕生年の順に並び変えようとしたとして、結構前後が逆になりそうです(ラロ、ダンディ、ショーソンetc)。交響組曲「寄港地」は第一次世界大戦後の1920年から1922年にかけて作曲されて初演時から好評を得て、作曲者の名前を一気に有名にした作品でした。

交響組曲「寄港地」 
第1曲:ローマ~パレルモ
第2曲:チュニス~ネフタ
第3曲:バレンシア

 
このジャン・マルティノン指揮、フランス国立管弦楽団の録音は昨日のマルティノン・後期録音集にも入っていましたが、それが出る以前に「フランス音楽のエスプリ シリーズ」という国内廉価盤でも再発売されていました。マルティノンは何となく好き、というくらいの熱意でしたが今回の「寄港地」は、作品についての解説文の「色彩が爆発(第3曲)」という程のドぎつい表現でなく、どこかしら優雅で一層好感を持てました。何年か前にこのCDを聴いた時に記事化したと思ったら過去記事の中に見つからないので今回これで更新しましたが、その機会は別の演奏によって寄港地を覚えていたところがこのCDを聴いて穏健過ぎるという印象だったような気がします。つまり今回聴いた方が感銘が増しているということでした。

 廉価盤と言えども企画シリーズのようなCDの場合、付属冊子に面白い解説が載っていることがあり、このCDには満津岡信育 氏による「コンポーザー=コンダクターとしてのマルティノンについて」というタイトルの文章がありました。「作曲もする」、よりも「作曲家であり、指揮者である」くらいの比重だと思いますが、こういう呼び方を見ればクレンペラーが自分に冠されたら喜んだだろうと思いました。それはともかく、アンゲルブレシュトやポール・パレー、ロザンタールもそうであったように作曲家マルティノンは日本では重要視されなかった(無視されてきた)ことが指摘されています。先日のレスピーギの「ローマの松」は、作曲者が指揮した演奏会よりもトスカニーニが指揮した公演の方が客席の反響が良くてより大成功だったということがあるように、自からの作品を指揮してさえそうなら作曲の能力とオーケストラを指揮して演奏させる能力の関係は興味深いものがあります。