180728bレスピーギ 交響詩「ローマの松」

ユージン・オーマンディ 指揮
フィラデルフィア管弦楽団

(1958年3月23日 フィラデルフィア,ブロードウッド・ホテル 録音 ソニーミュージック)

180728a この十日程の猛暑、通常は日没後9時くらいになると元気が出てくるところが本当にぐったりしていました。そういう状態のなかで、ある時頭の中でレスピーギの「ローマの松」が断片的に流れてきました。どういうプロセスなのかとにかくレスピーギでした。また何日か後の昼間、カンカン照りの道を歩いていて急に日陰にさしかかった時にまたローマの松が頭の中にチラつきました。それで作品を最初から聴いてみたくなりましたが、これまでLPやCDでレスピーギの作品は全く購入したことはなく、ラジオを録音したこともありませんでした。1980年代にマリナーと来日したフィルハーモニア管弦楽団の公演で組曲「鳥」を聴いたことがある程度でした。もっともローマ三部作や「リュートのための何とか」はFMでたまたま放送されるのを聴いたことくらいはあり、トスカニーニの指揮する映像でも「ローマの松」からアッピア街道の松が使われているのが記憶に残っていました。

 そういうわけで急きょ店頭でローマ三部作を探してこれを購入したわけです。オーマンディはレスピーギの三部作を何度も録音していて、ローマの松はSPも含めて四度も録音し、これは二度目にあたります(1957年と1961年で三作品を録音)。ローマの松、ローマの噴水をカップリングした1958年に発売したLPがコロンビアのステレオ録音LPの第1号だったそうです。
ちなみに1973年から翌年にかけても三部作をそろえて録音していました。今回のものはオリジナルの3チャンネル・マスターからリマスターされたSACDの国内盤です(今年発売なのでまだ店頭にあった)。

ローマの松(Pini di Roma)
第1部 ボルゲーゼ荘の松
第2部 カタコンバ付近の松
第3部 ジャニコロの松
第4部 アッピア街道の松

 
この作品は1924年12月に三部作の二曲目として作曲されました。前作の「ローマの噴水」が現代(当時の)のローマをテーマにしているのに対して「松」は、古代ローマ時代の光景を内容としています。そうは言っても「アッピア街道の松」はローマ軍の進軍にしては洗練され過ぎて、機械化された軍団のように威圧的です。この曲は作曲者自身がフィラデルフィア管弦楽団を指揮したこともあり、オーケストラにとっても縁のある作品でした。確かに「色彩豊かな」と評される通りの内容で、聴いて涼しくはならないとしてもこのところのモヤモヤが吹っ切れました。オーマンディはトスカニーニを尊敬していて、この曲のスコアにトスカニーニのとったテンポとしてレコードか何かの演奏時間を注記していたそうです。

 何故今までレスポーギの三部作をレコードを買ってまで聴かなかったのか、その理由の一つがクレンペラーがこの作品をあまり認めていないような論調だったので後回しになっていたということがありました。トスカニーニの指揮について言及したところで、「レスピーギの作品、ローマのなんとか」としらばっくれていて、本当に覚えていないのか暗に作品をディスっているのか、とにかくクレンペラーの好みではなさそうな口ぶりでした。