(台本 : フーゴ・フォン・ホーフマンスタール)
ヨーゼフ・カイルベルト 指揮
バイエルン国立管弦楽団
バイエルン国立歌劇場合唱団
皇帝:ジェス・トーマス(T)
皇后:イングリート・ビョーナー (S)
伝令:ハンス・ホッター (Br)
護衛者:インゲボルグ・ハルシュタイン (S)
若男幻影:ゲオルク・パスクーダ (T)
鷹の声:ゲルダ・ゾンマーシュー (S)
天上の声:ヘルタ・テッパー (CO)
バラク:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ (Br)
バラクの兄弟:カール・ホッペ (Bs)
バラクの兄弟:マックス・プレープストル(Bs)
バラクの兄弟:パウル・キューン (T)
バラクの兄弟:パウル・キューン (T)
生れざる子の声:ロッテ・シェードレ (S)
生れざる子の声:ゲルトルート・フレートマン (S)
生れざる子の声:ブリギッテ・ファスベンダー (CO)
生れざる子の声:イルムガルト・バルト (CO)
ユッタ・ゴル(Ms)、他
(1963年11月17-12月28日 ミュンヘン,ナツィオナール・テアーター ライヴ録音 豪ELOQUENCE/DG)
先日は北陸新幹線が敦賀まで延伸して開通式典をやっていました。敦賀なら新大阪、京都を通る新快速でそこまで行く便もあったので、北陸回りで東京に行けるのかと思って見ていました(わざわざ遠回りすることもない)。敦賀まで延びればちょっと先には米原駅があるじゃないか、この際とっとと米原までも延伸と言いそうになりますが、地元ではその案じゃなくて、湖西側にトンネルを掘りまくって新線を通すとか、経済波及効果のある(??)計画が優勢のようです。また、東海道新幹線はダイヤが過密なので、この上さらに北陸行の便を新大阪から発車させる余裕はない、と言われれればそんなものかと黙りこむだけです。この月末にはヤノフスキが上野でトリスタンを振るので大いに気になるところながら、日帰りにすると帰りはだいぶ遅くなり、翌日は復活祭だなと思って日程を見ていました。
R.シュトラウスの「影の無い女」は1917年に作曲され、1919年にウィーンで初演されたオペラ(この作品こそ楽劇と言うべきか)です。初演後もドイツ語圏で劇場再建の記念とか、ここぞというメモリアルな時に上演されています。このカイルベルト盤はミュンヘンのナツィオナール・テアター再建の際に録音されたものです。今回聴いているのは豪エロクエンスの廉価CD3枚組ですが、それまで入手困難だったので、よくぞエロクェンスで出したものだと思います。シュトラウスのメモリアル年にDGを中心にしたBOXセットが出たことがあり、その時は当然この録音も含まれているかと思ったらそうではなく、「影の無い女」はショルティ盤が入っていて、カイルベルトはアラベラだけでした。カイルベルトの残したレコードの中で絶対にはずせないものとしてこの「影の無い女」と「アラベラ」が挙げられる程なので、もっと質の良い盤で聴くべきところかもしれません。
この作品はシュトラウスのオペラの分類ではエレクトラ、サロメらと同じ作品群に仕分けされるようですが、大音響で塗りつぶすような単純さではなく、繊細さも兼ね備える凝った内容です。プッチーニ作品のような抜粋して頻繁に歌われるアリアはないものの、第一幕で皇帝、皇后がそれぞれ歌う旋律には気高く、香気を放つフレーズもあり、こけら落とし公演の演目になるだけのことはある音楽です。第三幕で皇后は、“ Goldenen Trank, Wasser das Lebens, mich zu stärken bedarf ich nicht ! Liebe ist in mir, die ist mir.(自分を強くする黄金の水、生命の水を飲む必要は無い、自分の中にある愛、これにまさるものはない)”と言い切るところは、よく言えた、なかなか現実の世界では口にしない、耳にしない言葉(特に男性は、か?)だと思います。大音量の魅力だけじゃない繊細な音楽なので、オーケストラの方はもう少し新しい録音の方が良いかもしれませんが、これでも十分魅力的です。
先日は北陸新幹線が敦賀まで延伸して開通式典をやっていました。敦賀なら新大阪、京都を通る新快速でそこまで行く便もあったので、北陸回りで東京に行けるのかと思って見ていました(わざわざ遠回りすることもない)。敦賀まで延びればちょっと先には米原駅があるじゃないか、この際とっとと米原までも延伸と言いそうになりますが、地元ではその案じゃなくて、湖西側にトンネルを掘りまくって新線を通すとか、経済波及効果のある(??)計画が優勢のようです。また、東海道新幹線はダイヤが過密なので、この上さらに北陸行の便を新大阪から発車させる余裕はない、と言われれればそんなものかと黙りこむだけです。この月末にはヤノフスキが上野でトリスタンを振るので大いに気になるところながら、日帰りにすると帰りはだいぶ遅くなり、翌日は復活祭だなと思って日程を見ていました。
R.シュトラウスの「影の無い女」は1917年に作曲され、1919年にウィーンで初演されたオペラ(この作品こそ楽劇と言うべきか)です。初演後もドイツ語圏で劇場再建の記念とか、ここぞというメモリアルな時に上演されています。このカイルベルト盤はミュンヘンのナツィオナール・テアター再建の際に録音されたものです。今回聴いているのは豪エロクエンスの廉価CD3枚組ですが、それまで入手困難だったので、よくぞエロクェンスで出したものだと思います。シュトラウスのメモリアル年にDGを中心にしたBOXセットが出たことがあり、その時は当然この録音も含まれているかと思ったらそうではなく、「影の無い女」はショルティ盤が入っていて、カイルベルトはアラベラだけでした。カイルベルトの残したレコードの中で絶対にはずせないものとしてこの「影の無い女」と「アラベラ」が挙げられる程なので、もっと質の良い盤で聴くべきところかもしれません。
この作品はシュトラウスのオペラの分類ではエレクトラ、サロメらと同じ作品群に仕分けされるようですが、大音響で塗りつぶすような単純さではなく、繊細さも兼ね備える凝った内容です。プッチーニ作品のような抜粋して頻繁に歌われるアリアはないものの、第一幕で皇帝、皇后がそれぞれ歌う旋律には気高く、香気を放つフレーズもあり、こけら落とし公演の演目になるだけのことはある音楽です。第三幕で皇后は、“ Goldenen Trank, Wasser das Lebens, mich zu stärken bedarf ich nicht ! Liebe ist in mir, die ist mir.(自分を強くする黄金の水、生命の水を飲む必要は無い、自分の中にある愛、これにまさるものはない)”と言い切るところは、よく言えた、なかなか現実の世界では口にしない、耳にしない言葉(特に男性は、か?)だと思います。大音量の魅力だけじゃない繊細な音楽なので、オーケストラの方はもう少し新しい録音の方が良いかもしれませんが、これでも十分魅力的です。
先月にサヴァリッシュの来日公演の映像ソフトを視聴しているので、これを歌詞の日本語訳を見ながら聴くと内容がよく伝わり、感銘が増します。フィッシャー=ディースカウのバラクは特に立派で、彼がこういう役を歌う場合はちょと弱々しいような性格を連想するのにこのバラクは役柄以上の貫禄かもしれません。バラク嫁のインゲ・ボルク(Inge Borkh 1921年5月26日 - 2018年8月26日)の声の威力に負けないタフさです(写真の外見も)。ノルウェー出身のイングリート・ビョーナー( Ingrid Bjoner 1927年11月8日:クロクスタ - 2006年9月4日:オスロ)の皇后はひときわ清らかに響く声で、黄金の水を飲まず、拒むところ辺りは圧倒されます。名前だけは輸入盤の広告でちょくちょく見た覚えがあるのに、他にどの録音に参加していたか思い出せないのが不思議な程の歌唱です。乳母にメードル、伝令がホッターというのも豪華なキャストで、特に乳母は出番が長い、多いので素晴らしいと思いつつ、こういう暗い、悪い役に彼女をもってくるのはちょっとなあとも思いました。