raimund

新・今でもしぶとく聴いてます

指:ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ

18 2月

歌劇「ジョコンダ」 デル・モナコ、チェルクェッティ/1957年

210217bポンキエッリ 歌劇「ジョコンダ」

ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ 指揮
フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団
フィレンツェ五月音楽祭合唱団

ジョコンダ:アニタ・チェルクェッティ(S)
エンツォ:マリオ・デル・モナコ(T)
バルナバ:エットーレ・バスティアニーニ(Br)
ラウラ:ジュリエッタ・シミオナート(Ms)
アルヴィーゼ:チェーザレ・シエピ(Bs)
チェーカ:フランカ・サッキ(Ms)
ズアーネ:ジョルジョ・ジョルジェッティ(Br)
イゼポ:アトス・チェザリーニ(T)
水先案内人:グイド・パゼッラ(Bs)
歌手:エディオ・ペルッツィ(Br)

(1957年6月22日-7月6日 フィレンツェ 録音 DECCA)

210217a 「焼け棒杭に火が付く」という表現、どこかで見聞きした記憶(「のだめ」の魔笛上演編で出て来たか)はあるものの最近は、或いは実際に日常で使わない言葉かもしれません。元恋人との関係が再燃する場合をこう表現することが多かったようですが、そもそも木製の棒杭自体をあまり見かけなくなりました。先日の「カヴァレリア・ルスティカーナ」と今回の「ジョコンダ」も元恋人同士がぶり返すという展開は同じですが、カヴァレリアの方で命を落としたのは棒杭の当事者たる男性だったのに対して、ジョコンダは焼け棒杭じゃない方の女性、ジョコンダさんが自ら命を絶つという結末です。この辺りはトスカや蝶々さんと似ています。

 ポンキエッリ(Amilcare Ponchielli 1834年8月31日 - 1886年1月17日)のオペラ「ジョコンダ」が初演されたのは1876年だったので、アンドレア・シェニエやカヴァレリア・ルスティカーナよりも二十年くらい古い作品になります。マスカーニ、プッチーニはミラノ音楽院でポンキエッリに師事したことがあったので二人ともポンキエッリの門下生ということになります。ポンキエッリは他にもオペラを作曲していますが有名なのはこの作品だけになっています。最近の「名曲名盤500」にはリストアップされていませんでしたが、1980年代の同企画にはたしかにリストに挙がっており、カラスのレコードの写真を何度も見た記憶が残っています。

210217 このオペラ、ジョコンダで一番有名で大抵はどこかで耳にしたことがある部分は、第三幕第2場に管弦楽のみで演奏されるバレエの音楽「時の踊り」で、自分自身もテレビかラジオのCM、番組のテーマ曲になっていたようなおぼえがありました。管弦楽だけの楽曲も有名という点もカヴァレリアと共通する点です。この録音も豪華キャストですが、注目はジョコンダ役に30歳で引退したので幻のソプラノとも呼ばれたアニタ・チェルクェッティ(Anita Cerquetti 1931年4月13日 - 2014年10月11日)が登場しています。彼女が残したスタジオ録音はこの全曲盤とオペラ・アリア集の2点のみということですが、ウィキの記述によると彼女の真価を現わしているものではないとなっています。チェルクェッティで有名だった話として、1958年1月にローマ歌劇場の「ノルマ」第一幕でマリア・カラスが急にノルマ役をキャンセルしてしまった際に同じ頃ナポリ(サン・カルロ劇場)で同役を歌った彼女が代役を務め、成功をおさめたという劇的な事件がありました。

 スタジオ録音では真価が分からないような評のようですがノルマでマリア・カラスの代役に指名されただけのことはる、強くて艶のある独特の声質で当時20代とは思えない貫禄が感じられます。恋敵(母の恩人でもある)を助けて最後は自害する激しい役柄にふさわしいものだと思います。シミオナート、デル・モナコ、バスティアーニも歌詞・対訳を見ながらじっくり聴きたいと思いました。なお、このジョコンダは先日のカヴァレリア・ルスティカーナの二カ月程前に同じ劇場、同じオーケストラで録音されたものでした。その割に音質もオーケストラもこちらの方が良いような気がしました。
12 2月

アンドレア・シェニエ デル・モナコ、テバルディ/1959年

210212ジョルダーノ 歌劇「アンドレア・シェニエ」

ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ 指揮
サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団
サンタ・チェチーリア国立アカデミー合唱団(合唱指揮ボナヴェントゥーラ・ソンマ)

アンドレア・シェニエ:マリオ・デル・モナコ(T)
マッダレーナ:レナータ・テバルディ(S)
ジェラール:エットーレ・バスティアニーニ(Br)
ルーシェ:シルヴィオ・マイオニカ(Bs)
伯爵夫人:マリア・テレーザ・マンダラーリ(Ms)
マチュー:フェルナンド・コレナ(Bs)
ベルシ:フィオレンツァ・コッソット(Ms)
マデロン:アメリア・ギディ(Ms)/他

(1959年6月 ローマ,聖チェチーリア音楽院 録音 Decca)

 
二月も半分が過ぎようとそています。二月の節分が過ぎてから醍醐の五大力さんまでの期間は個人的に一年中で特に好きな季節でした。五大力さんが過ぎて二月の終わりが近づいてくると妙に名残惜しい気分になり、ずっと寒いのでは困るくせに矛盾した感覚です。昨夜どこかのTV局のニュース番組で東京五輪組織委員の会長の件を扱っていて、スポーツ行政界は日本社会の縮図、「にこごり」のようなものと言っていましたが、色々な業界にも「にこごり」はあるのだろうなと思ってきいていました。それにしてもカナダの理事(女性)があの男をとことん追い詰めると twitter に投稿していたとか、引責辞任する当人が跡目を一本釣りで指名とか、ジェンダー平等の意識は日本と世界の先端では大いに差があるのだと感心半分で実感しました。

 先日ちょっとした機会でオペラ「アンドレア・シェニエ」の素晴らしさに目覚めましたが、カラヤンとスカラ座の全曲盤やカラスのスタジオ録音があると思っていたのにどうも間違いのようでした。それでイタリア歌劇団らによる日本初演から二年程前の録音、来日メンバーでもあったデル・モナコとテバルディが参加した全曲盤を聴きました。マリオ・デル・モナコ(Mario Del Monaco1915年7月27日 - 1982年10月16日)は、作曲者のジョルダーノ(Umberto Giordano 1867年8月28日 - 1948年11月12日)から助言、指導も受けて、彼が歌うシェニエを気に入ってもらったそうです。

 このスタジオ録音は来日公演よりさらに豪華キャストになり、シェニエの恋敵にして共感者でもあるジェラールにバスティアーニ、マッダレーナの召使のベルシにはコッソットです。どちらも物語上で重要な役になり、特にジェラールは第1幕の冒頭から貴族階級に不満を示し、シェニエが歌う飢え、苦しむ庶民に無関心な貴族を糾弾する詩に熱くなり、夜会の場に貧しい人々を連れて来るという行動に出て追い出されます。第2幕ではマッダレーナを養うために娼婦になったベルシと密偵のやりとりは有名アリアでもないけれども、ひたむきに献身的な姿が現れています。

 アンドレア・シェニエは上演される機会はあまり多くない、シェニエ役にぴったりのテノールと他の主要キャストをそろえるのが難しいと言われているようです。先日のパヴァロッティとカバリエは声、歌唱は圧倒的だと思いましたが、人物の性格、感情の面ではどうかと思って今回のデル・モナコ、テバルディを聴いていました。でもやっぱり双方とも凄いと思いました。最後に刑場へ送るため名を呼ばれ、返事をする際の堂々と、決然とした声はカバリエが素晴らしいと思いましたが、最初は明る過ぎないかと思ったテバルディも聴いているとデル・モナコ共々に感動します。それにしてもこの作品は前奏曲部分は短目でも劇中はオーケストラが十分に雄弁で、音が多すぎずバランスも良いと思われて、カラヤンも録音していてもおかしくないと思いました(スカラ座と録音したのは道化師、カヴァレリア・ルスティカーナ)。
30 3月

プッチーニの蝶々夫人 ロス・アンヘレス、ガヴァッツェーニ、ローマ歌劇場

160330プッチーニ 歌劇「蝶々夫人」

ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ 指揮
ローマ歌劇場管弦楽団
ローマ歌劇場合唱団

蝶々夫人:ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(S)
ピンカートン:ジュゼッペ・ディ・ステファノ(T)
シャープレス:ティト・ゴッビ(Br)
スズキ:アンナ・マリア・カナーリ(Ms)
ゴロー:レナート・エルコラーニ(T)
ケイト・ピンカートン:マリア・ヒュダー(Ms)
ボンゾ:アルトゥーロ・ラ・ポルタ(Bs)、他

(1954年7月26-31日,8月2-6,8-9,11,23日 ローマ歌劇場 録音 BRILLIANT/EMI)

 一応今年度のことが片付いたので今日の夕方は早目に出て美術館に寄ろうかと思いましたが、書留や宅配が届いてばたばたしている内に時間が無くなりました。たしか京都市美術館でマネかモネの展覧会をやっていて、両者はどう違うのかと改めて問われれば答えられないと思っていました。後者が前者の模倣(マネだけに)する作風というわけではないはずで、美術館の催しを調べると展覧会をやっているのはクロード・モネ(Claude Monet 1840年11月14日 - 1926年12月5日)の方でした。マルモッタン・モネ美術館のコレクション、10代から晩年までの作品を展示と書いてありました。ちなみにマネ(Édouard Manet 1832年1月23日 - 1883年4月30日)の方が8歳程年長で1866年のサロンにモネが出品した作品がマネと間違えられたのをきっかけに交際するようになったとウィキには載っていました(やっぱり間違えられるんだと)。

 さて、冬のイヴェントの最後としてフィギュア・スケートの世界選手権が開幕します。浅田選手をはじめ何人かがプッチーニの「蝶々夫人」の曲を使っていたのでちょっと古い録音を聴いていました(実は今季の最初にも聴いていた) 。このCDはスペイン(カタルーニャ)生まれのソプラノ、ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(Victoria de los Ángeles 1923年11月1日 - 2005年1月15日)が30代前半の頃の録音の復刻盤です。違うレーベルからも出ているはずですがこれは廉価盤のBrilliant Classics から出たものです。そのためか、古いから元々こんな感じだったのか音質の方は今一つです。ロス・アンヘレスはこれの五年後くらいにも同役を歌ってステレオ再録音していましたが、こちらの旧録音も男声陣も立派で好評だったようです。

 正直この作品についての個人的関心としては、ほとんど主役の蝶々さんの歌だけでしたがこの録音では特にピンカートンのディ・ステファノにも惹かれます。ストーリー上は正妻をつれてしゃあしゃあとまた帰ってくる(ケイトが自分にも責任の一端があるとか言わないし)ところとかは虫が好かないと思っていましたが、こんな爽快な歌声なのでマイナスのイメージが緩和されます。

 ロス・アンヘレスと蝶々夫人をキーワードにネットで検索するとこの録音についての記事がチラホラと挙がってきて、彼女が歌う蝶々さんはかなり好評のようでした。中には愛らしいという感想もあって旧録音の方も賛辞が見られました。実は個人的にロス・アンヘレスについては若くてもオバハ、否、落ち着いたしっかり声というイメージで、15歳そこそこという設定の蝶々さんはちょっとどうかと思っていたところ、改めて聴いているとネット上でも見られた好評になるほどそうだとと納得しました。今年に入ってマイブームなモンセラート・カバリエはプッチーニ作品ならボエームのミミか蝶々さんが似合いそうだと思っていましたが、ロス・アンヘレスもなかなかだと思いました。その前にカバリエはそもそも蝶々さんを録音したかどうか分らず、見かけたこともありません。

 この録音でもイタリア・オペラ職人的なポジションジャナンドレア・ガヴァッツェーニ(Gianandrea Gavazzeni 1909年7月25日 - 1996年2月5日)がローマ歌劇場で指揮しています。プロフィールを調べると1948年から50年近くもミラノ・スカラ座の首席指揮者を務め、評論家、作曲家としての活動もあるとなっています。ちなみにロス・アンヘレスの「蝶々夫人」・再録音はガブリエーレ・サンティーニが指揮しています。どちらもヴェルディやをはじめイタリア・オペラのレコードで名前を見かけるので、エレーデやプラデッリらも含めて彼らの本場での序列というか格はどうなっているのだろうかと思います。
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昭和40年代生まれ、オットー=クレンペラーの大フアンです。クレンペラーが録音を残したジャンルに加え、教会音楽、歌曲、オペラが好きなレパートリーです。

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