レナード・バーンスタイン 指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
ジェイムズ・チェンバース:ホルン
(1963年1月7日 ニューヨーク,リンカーンセンター,フィルハーモニックホール 録音 ソニーミュージック)
明日で1月が終わりになり、新年、正月の行事が一通り終わって自分の中では一年の中で11月と並び好きな月、季節に入ります。 このところにわかにマーラーづいてきて、続けてマーラーのCDを聴いており、SACD仕様の国内盤のバーンスタインの旧録音を何種か聴こうとして、ブルーレイ再生専用機器で再生しました。自動的にSACDのマルチチャンネルが優先されるようで、アンプにはマルチ・インと表記されましたが、肝心の音声が中低音がスカっと抜き取られたような貧相な音がセンタースピーカーからしか出ていないようで、今までこんなことは無かったので妙な具合でした。多分設定を間違えているはずですが、面倒くさいのでSACDプレーヤーの方で2チャンネルの方を聴きました。過去にこのシリーズから第2、6、9番を聴いた時はなかなかのリマスター具合で旧録音の魅力を再認識していました。
バーンスタイン・NYPO/1963年
①12分28②14分18③17分39④11分02⑤13分51 計69分18
バーンスタイン・VPO/1987
①14分35②15分05③19分05④11分16⑤15分02 計75分03
レヴァイン・CSO/1977年
①12分56②14分50③17分34④12分01⑤14分53 計72分14
クーベリック・バイエルンRSO/1971年
①11分35②13分52③17分23④09分44⑤15分29 計68分04
ハイティンク・ACO/1970年
①12分19②14分02③18分00④10分35⑤15分49 計70分45 この第5番はそれら三曲に比べると普通な感じで、その上にやや雑な印象が付きまといました。どうせ精緻さに欠けるならもっと荒れ狂って、突っ走ればと勝手な期待をしますがそういう演奏でもなく、ビシュコフがショスタコーヴィチ作品について語った論法を借用すれば、フィジカルな面のスリリングさではなくて心理的な面を追求したと言えそうです。終楽章だけを見ればトラックタイムが14分を切っていて、なんとなく徐々に加速しているノリのようですが、バイロイトの第九のような乱れ方でもありません。
第4楽章以外は低弦のゴツゴツした音がけっこう目立って、先日聴いたクーベリックとバイエルンRSOのような爽快さが引っ込んで、 どこかしら閉ざされて頭を押さえつけられるような重苦しさが付きまとう気がしました。終楽章ではさすがにそうではないものの、マーラーを聴き始めて以来この作曲家の名前から連想する世界といえばやっぱりこうだったんじゃないかと思いました(それと同時にこの曲はウィーン・フィルの方が良いかなと)。
マーラーの第5番はレコードで反復して聴く前にショルティとシカゴSOが大阪に来た時に聴いてかなり圧倒されたのが印象に残っていました。その後インバル、テンシュテットとCDで聴いていましたが、1960年代に録音されたバーンスタインの旧録音もそれらと繋がる内容のように改めて実感しました。むしろ同じ頃に全集録音したクーベリックの方が新鮮な印象です。いずれにしても今頃何を言っているという古い録音の話です。ただ、同じユダヤ系でもチェコ生まれのクーベリックは、生まれ育って教育を受けた土地の影響は無視できないのかと思いました。